会社に転がっていた本を、ふと読んでみました。
その名も
「糖尿病予防治療の深い闇」
糖尿病にかかった筆者(ノンフィクションライター)が
現在の糖尿病治療では異端視されている「糖質制限食」に出会い、
糖尿病を上手くコントロールできるようになった経緯や
なぜ糖質制限食が、異端視されているかが描かれています。
当然、それによって救われた人が書いた本なので
客観性に疑問を持つ部分はありますが、
なかなか興味深い内容でした。
個人的に面白かった逸話は、「脚気(かっけ)論争」。
これは歴史上、明治時代に実際にあった話で
片方の主役は、有名な森鴎外。
現代において、脚気はビタミンB1不足により発症することが広く知られ
それによる死亡者はほとんどいません。
ただ、原因が不明だった明治時代~昭和初期には、
毎年国民の1~2万人程度が、この病気で亡くなっていたようです。
要は、現代の交通事故よりも、死亡者が多かったわけですね。
海軍の軍医である高木兼寛(慈恵医大の創設者)は、
海軍の脚気にかかる軍人を調査・分析した結果
脚気の原因が、栄養障害であるとし、米食よりも麦飯を主食とすることを提案した。
ただ、これは当時の科学・医学からすると理解・証明しづらいことであり
陸軍や東大からは、批判にさらされ、受け入れることはなかった。
森鴎外は、こちらの勢力。
でもって、結果は
日清戦争では、戦死者よりも脚気による死者のほうが多い始末。
日露戦争においては、
陸軍は約25万人の脚気にかかり、うち約27,800人が病死。日露戦争の戦死者は約47,000人。
この話は、吉村昭の「白い航跡」という小説にもなっているそうな。
今度、読んでみようかな?
この話の興味深い点は、当たり前のことではあるが
「その時点の最新科学が、必ずしも正解ではない」という点にある。
現時点の科学や通説で、もちろん説明できないことはたくさんある。
それは「不可解な現象」ではなく、
解明・説明するだけの、理論がないからにすぎない。
きっと専門家としての器の大きさは
未知の現象やデータを前にして
「それは、おかしい!理論にあわない!」と頭ごなしに否定するか
「そういデータがあるなら、違う理論もあり得るのかも?」と
ゼロから物事に取り組むのかの差にあるのでしょう。
科学的知識ゼロの一個人としては
専門家を頼りにしつつも、パーフェクトではないことを知って
お付き合いするのが、ベストなのでしょうね。