以前のエントリーで、CDショップのことについてちょっとだけ触れましたが、何でCDショップ…というかレコード屋に思いをはせるかと言うと、その昔に俗に言う「街のレコード屋」で働いていたことがあるからです。
そして、この記事(写真で紹介する東京23区内のCDショップ)を見て、思い出したことも多かったので、ちょっとばかり想い出話を綴ります。
ここでは店舗名は差し控えさせて頂きますが(特に問題は無いとは思うのですが)、千葉県内にあるレコードショップで働いていたことがあります。その店舗はオーナーが楽器店や家電店なども展開しており、'80年代半ばにはレコードレンタル店とレコード店を同時に展開するなど、いくつかの姉妹店舗がありました。
自分が働いていた店舗は、純粋なレコード店ですが、非常にドラスティックに経営の模索をしていました。その最たるものがビデオレンタルとファミコンレンタルでしょう。ファミコンレンタルが違法か合法かはさておき、1週間300円程度で貸し出していました。
時にアドベンチャーゲームやロールプレイングゲームが登場。1週間程度では解けず延滞に次ぐ延滞で、借りたくても借りれない状況。人気の強さも相まって(買って楽しむのが主流となり)、衰退していきました。
ビデオレンタルは、まだ版元によって仕入れ値が大きく違う状況で、二泊三日くらいで700円以上した気がします。店長が版元か流通の営業マンと仕入れ値の交渉をしている姿を良く見ていました。ウチの店舗で特徴的だったのはベータマックスのカセットも取り扱ってることで、そのためだけに遠方からも借りに来て頂けるお客さんがいました。ただし1タイトルあたりの本数はVHSとベータで分け合ってしまうため、他店舗に比べてVHSの在庫数は不利でした。
また、近隣の飲み屋から安定的な注文が入ってきていたのがカラオケカセットですね。まだ8トラックの品揃えが良いころで、新譜は必ず近隣のスナック等に納入していました。注文を受けるというより、新譜は必ず買うので、ほぼお決まりで買って頂いてたと思います。新譜が納品されたら、商品と伝票を持って(夕方頃に)飲み屋に行ってお代を貰ってくる、なんておつかいもしていました。
店の品揃え的には、ニューミュージックのアルバムとアイドルのシングルが良く売れた印象です。またレコード会社によって発売日が決まっているので、レコード会社単位で新譜が一斉に納品されるのですが、そこで店内放送用に新譜ベストをカセットにダビングするチョイスが楽しみでした。と同時にポスター巻き。
あと覚えさせられたのが、どのアーティストがどのレコード会社なのか、ということ。お客さんの注文に対して注文用の本でレコード番号を調べるにも、レコード会社が分からないと探せないこともあり、そのあたりは必然的に学んで行きました。ま、ホールに出て在庫を見れば分かるのですが、そこはスマートな仕事をするためにも必要だったものです。
しかも、仕入れが少なく注文が多いものはレコード番号まで覚える状況でした。レコード会社別に特徴があり、CBSソニーだと邦楽シングルは07SH~とか。エピックソニーだと07・5Hとか。そのあたりも把握しておかないと、間違えることになるのですが、自然に覚えていった感じでしょうか。
また近くのデパートの屋上でアイドルの営業イベントが盛んで(今でいうリリイベですかね)、私が働いていた店でレコードを買うと参加券が貰えるなどの提携もあり、アイドルは良く売れました。当然、店舗からの視察名目で観に行っていたことは言うまでもありません。
当時バカ売れしていた想い出としては、「レベッカIV」やBOØWYの「JUST A HERO」、渡辺美里の「eyes」、松田聖子や中森明菜全般からおニャン子勢。当時、店長が「最大の注文数」と言っていたのが「バレンタイン・キッス」だったような気もしますが、ちょっと記憶違いかもしれません(ひょっとしたら「冬のオペラグラス」かも)。
今ではほとんど無い状況としては、お客さんが購入する前に「視聴させてください」というリクエストがあること。ほとんどのレコードはビニールで全面シュリンクされていないモノも多いので、レコードを取り出して静電防止スプレーを噴いて店内に流して……という所作があったもんです。今だと試聴器がその替わりなのでしょうか。
と同時に、その頃は「CD販売をどうするか」という問題がありました。一般的にCDの販売は始まっていたのですが、まだそれほど普及していない状況。売り場を設けても、レコードとタイトルが被るので効率的では無い……のですが、それでも時流として置かざるを得ないか、などと語り合っていました。何せ、店にはCDプレイヤーも無いわけですから、オーナーが持つ家電店から取り寄せて、CDを販売できるようにしたり。結局、同様の存在であるミュージックテープコーナーを切り崩して展開しました。
語り出せばキリがありませんが、レコード店での実務から学んだことは多かったです。変なワザとしては、お客さんが「こんな曲がCMで流れてたんだけど、そのレコードが欲しい」という話から、鼻歌で歌ってくれるんですが、それを当てて、レコードを探してきて試聴してもらって「そう!それ!」みたいな。先輩店員で詳しい人は、こっちが分からないような曲でも当てたりして、スゴイなと思ったり。
ただその先輩曰く、単に鼻歌で当ててるんじゃなく、そのお客さんが以前に買って行った商品を覚えており、その趣味や傾向や、気に入りそうなジャンルなどをプロファイリングして想定してるので、ある程度は絞り込めているとか。タネ明かしされると何てことないのですが、客商売への従事の仕方は色々と教わりました。万引きしそうな客の見分け方とか。
話を冒頭に戻すと、先のブログ記事では23区内のレコード店は40店舗そこそこだとか。こうした店舗以外に、タワーレコードやHMVなどの大手チェーンがあるので、全体数としては多いのでしょうけど、考えさせられる記事でした。
特に、自分のメインフィールドがゲームセンターだったりすると、大手チェーンに対する個人経営のゲーセンか、という印象もあったり。けど、まだ23区内のゲーセンのほうが数が多い気はします。規模の比較は難しいですが、時代の趨勢と共に、大手中心となったり、品揃えの面や価値の変容の前に淘汰されつつある状況は似たようなところがあるという印象です。
今度、似たような主旨のゲーセン編をまとめてみても面白いかと思いました。