ご存じ怪盗猫娘 第6話 偽りの猫娘 | 高須力弥のブログ「ローレンシウム荘事件」

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 ある朝マオが登校しに玄関から出た時影森に出会った。


 

 

「影森さんおはようございます!」
マオは影森に挨拶した。

 マオの母親のスミレは仕事のため、夜はほとんど家にいなかった。
母親と二人暮らしのマオにとって、影森は兄の様な存在だった。

「おはようマオちゃん。最近猫娘が民家に強盗に入ってるんだって。マオちゃんちも気をつけなよ。」

「ええっ!そんなの何かの間違いですよ!猫娘は悪い人からしか盗まないんです!」

「どうだか……。とにかく何かあったら俺を呼んでくれ。すぐに駆けつけるからね!」
影森は去っていった。



 マオは学校に着いた。
猫娘を名乗る三人組が民家に押し入って強盗を働く事件が連続していた。

「猫娘ってほんとは悪い奴だったんだね。」
「今まで応援していてバカみたいだわ。」
マオのクラスでもその噂で持ち切りだった。

「猫娘はそんな悪い事しないわ!」
未央奈が声を上げた。

「そうだ!悪人に捕まった俺たちを助けてくれたんだぜ!」
想一も声を上げた。

マオは2人のその気持ちがうれしかった。




 寂れた古い屋敷の中で怪しい3人組が話をしていた。
「我ながらいいアイデアだねえー。猫娘の恰好で強盗をすれば本物の猫娘に罪をなすりつけて金を手に入れられるなんてねー。」
黒猫の仮面をつけた女が言った。

「さすがお頭様。アイデアばっちりですねー。」
黒い猫耳帽子を被った鼻が高く前歯の出た男が言った。

「それで次のターゲットはどこにするでまんねん?」
同じ帽子を被った鼻が低くがっしりした体格の男が尋ねた。

「お頭様。○○町○丁目○番地の一軒家に大学生が一人で住んでるそうです。」
鼻が高い男が言った。

「今時大学生が一軒家に一人で住んでるなんて金持ちの息子に違いない。よーし!今夜のターゲットはその家に決定だよ!」
仮面の女が言った。



 深夜、影森が寝室で眠っていると、何者かに叩き起こされた。
見るとそこには黒猫の仮面をつけた女と黒い猫耳帽子を被った2人の男がいた。

「あたしたちはあの有名な怪盗猫娘とその一味なんだよ!」
仮面の女が言った。

「さあ、さっさと有り金を全部出しなさい。」
鼻が高い方の男がナイフをちらつかせながら言った。

「痛い目にあいたくなきゃ大人しくいう事を聞くでまんねん!」
鼻が低い方の男が指を鳴らしながら言った。

「ひえーっ!!お、お助けーっ!」
影森が悲鳴をあげた。


 その時、扉から猫娘とユーゴとフトシが入って来た。
「猫娘の名を騙る不届き者! 夜の世界をひた走り 悪を見据える二つの目 その名も怪盗猫娘 悪党どもを退治いたします!」

「クロネコブラザーズ、スペードのユーゴ!」

「同じくクラブのフトシなんだな!」

 

 

 

 

猫娘たちは名乗りをあげた。

「お前たち!さっさとあいつらを片付けるんだよ!」
仮面の女が2人の男たちに命令した。
男たちはユーゴとフトシに向かって行った。

「猫姐さんの名前を騙るなんて許せねえ―っ!!」
ユーゴが鼻が高い方の男を殴り飛ばした。

「力比べなら負けないんだなっ!!」
フトシが鼻が低い方の男を締め上げた。

 猫娘が仮面の女にスタンロッドを打ち付けて気絶させた。


 そして猫娘は3人を縛りあげて「この者達ニセ猫娘一味」と書かれた猫娘のカードを額に貼った。

「警察に通報してこの3人を引き渡してください!」
本物の猫娘はそう影森に告げ、ユーゴとフトシと共に去って行った。

「ありがとう猫娘!あんたを疑って本当にすまなかった!」
影森は猫娘に心から謝った。



 猫娘たちはイコマイヤーに向かって夜の闇の中を走っていた。
 突然、背後から光線が放たれ、ピコはそれを受けて地面に落ちた。

「機能を……停止……します…」
ピコはそう言ったきり、バットモードのまま動かなくなった。

「ピコ!どうしたの!?しっかりして!」
 猫娘はピコに語りかけた。
しかしなんの反応も無かった。

「姐さん!船に戻ってマナブに見せましょう!マナブなら大抵の機械を直せますよ!」

 猫娘たちはイコマイヤーに戻り、マナブにピコを見せた。 

 マナブはピコの内部を入念に調べ、猫娘に言った。
「ふーむ……。申し訳ありませんがこのような高度なロボットはぼくには直せそうにありません。これを直せるのはロボット工学の第一人者である山野田工作博士ぐらいでしょう……。」

 猫娘は突然知人の名前が出てきた事の驚きのあまり声を上げそうになった。




 暗い部屋でグレイがルシファーに報告していた。
「ルシファー様。お言いつけ通りあのロボットに光線を当ててまいりました。よろしいのですか?あのロボットを回収して来なくとも……。」


「ええ。これでいいのです。計画は順調に進んでいます……。」
ルシファーはほくそ笑んだ。