気が付いたら、目の前には見るにも無残な死体があった。
泥をこねて作ったぐちゃぐちゃの人形のようで、もとの形なんてとうに失われている。手足はありえない方向に何度も折れ曲がっているし、大きく避けた腹からは潰れている内臓がよく見える。こんなにも形が崩れているのに、顔だけは綺麗なまま、驚愕の表情でこちらを見ている。
その顔には、とてもよく見覚えがあった。
「お母、さん……?」
その死体は、紛れもなく私の母親だった。両目の涙ぼくろが何よりもの証拠だ。
転がっている肉塊が自分の産み親だと目で見、頭で考え、体が納得した時、喉にすっぱいものがこみあげてくるのを感じた。吐き出したくなるそれを無理やり飲み込むと、口内に苦みが走る。
その苦味を味わいながら、考える。目の前の光景の謎を。
何故、母親は死体となったのか。
「…………あ?」
考えようとして、気付いた。
私は死体を発見するまでの経緯を探ろうとしたが、思い出せなかった。
正確には、思い出しようがなかったのだ。
続く.