みなさまこんにちは。石田佳名子です。
 
ロウドキエ『HYPNAGOGIA〜ヒプナゴギア〜』が終焉し、私が台本を本棚へと仕舞ってもう1週間以上たちます。
時が流れる速さはわかっていてもいつだって驚きますが、今回は少しいつもより大きな寂しさを思います。
 
改めまして、ご来場くださいました皆さま、本当にありがとうございました。
 
 
終演後の感想といいますか、公演後記的なものを書くことになりましたので、この企画が生まれた頃からのことや稽古でのことをここ数日よく考えておりました。
 
やや長めな文章になることをどうかお許しください。
 
最初はアクロスフェスタの打ち上げの時、帰りがけに伊瀬ちゃんからの『演劇部やりたいんです!』と言う言葉だったと思います。
 
正直この時はお酒も入っていてそんなに深刻に捉えず『おお!!いいね!!!』位のノリでした。
 
それが時間と共に話は進み、いつまでに1回目の公演はしたいと言う目標ができて、現実的に色んなことを詰めて行く流れの中で本はヒプナゴギアで私が演出を担当することになりました。
 
確か昨年の8月の後半のことだったかと思います。
 
それから本当に『色々』を経ての2月本番。
 
今その『色々』を製作面からも細かく時系列でどの順番で作られていったのかを細かく書いていたのですが、なんだか鬱陶しい文章になったので消しました。笑
 
いつか自分のブログで書くことにします。
 
兎にも角にも、最初からこの作品をやるなら会場は絶対に南青山マンダラさんでなければと思っていたし、音楽と演奏は森亮平君しか私の中にはありませんでした。
出演者も春菜さんと伊瀬ちゃんが『夢の女』なら男性キャストはあの組み合わせなら絶対に面白いと思ったので、会場、ピアニスト、出演者全部のスケジュールがハマった時に随分と気持ちが楽になったのを覚えています。
 
最初の頃に二つのチームの違いについて春菜さんに聞かれた時に『マカロン』と『雷おこし』と答えたのですが、本番になればなるほどその違いはますます色濃くなり、それがとっても楽しくて、2チームの違いを地球上で一番楽しんだのは間違いなく私だと思います。笑
あえてネーミングの意味を書きますと
 
・池澤さん&帆世くん&仲村くんチームは柔らかい三角形、基本的に暖かい色味(パステルカラー)、少し甘い香りのする様な雰囲気で、歯ざわりの良い芝居。
・伊瀬ちゃん&イッキさん&亀岡さんチームはゴツゴツとした三角形、少し現実的な色味(木調とか自然の色)、香りというより風速、顎の奥を刺激するやや歯ごたえのある芝居。
 
と言うところです。初めて揃って読んでもらった時に、それぞれの持っているそんな雰囲気と相性からそのイメージを大切にしようと思いました。
同じ台本なのに全く違う雰囲気で紡いでいくのに、
マカロンチームがたまに見せる悲しい陰や歯痒さは雷おこしチームがたまに見せる淡い色味の切なさや輝いたノスタルジック調の哀しさと不思議とリンクする時があって演劇って面白い
 
みんなの心が動いて変化して発したセリフには可能性にどんどん広がる、言葉って面白い
 
 
それぞれの変化にそれぞれが反応しあって人って面白い、と私の方が毎度勉強をさせてもらっていました。
 
 
みんなが素敵でね、面白いものだからつい稽古は割と長くやってしまうことが多くてね、出演者&スタッフの皆さんをさぞ疲れさせたことと少し反省しております。
 
が!本当に楽しくて、やりながら気がついたのは全ての役を自分がやっている気持ちな上に全ての役に自分が恋をしている様であったので、かなり長いタイムでも毎度本当にあっという間でした。
 
演出としての経験の浅さを論理的というよりも、なにか普段の役者の部分でカバーしようと力技になってしまっていたのかもしれません。
 
もしも自分が出る方だったら今回の出演者さんたちの様にあんなに受け入れられるか、許容できるのか自信がありません。苦笑
 
それでも私を演出としてみんなが一緒に歩んでくれたことがいつも嬉しくて、だから本番も自分が出演する公演と何一つ変わらず、いや、むしろそれ以上に緊張した二日間でした。
 
 
また、この作品で大きな役割を担う音楽。
 
これは、もう本当に森くんが引き受けてくれて本当に本当に良かったと言う言葉につきます。
ヒプナゴギアで使っている音楽は細かいものを含めると実は16曲もあり、全部森くんが作曲してくれました。
11月ごろに台本とそれぞれのナンバーの音楽のイメージを細かく伝えて、次に二人で打ち合わせした時にはメインとなるものはほぼ完成状態。
しかもイメージ通り。そこから丸一日の作業で全16曲もほぼ完成状態。
単音一つまでこだわって、小姑の様な私の言葉全てを汲んでくれて、
最終スタジオ稽古の時にはそれぞれの役者さんに合わせて日替わりの細かいオーダーにも答えてくれるし、その場でセリフの音量やニュアンスを聞いて常にセリフと対話しながら奏でてくれました。
音楽の魔法をかけてくれる人です。
 
才能に嫉妬したくなるほどに心から尊敬しています。
 
 
話し出したら止められないほどに色んな経験をした今回のこの公演、充実感もありますが、すぐに『あの時に私がああ言っておけば良かったのでは』と思うことも正直なところありました。
これは否定というよりはそちらの可能性も見てみたかったと言う意味です。
 
しかし、公演後の打ち上げに参加した藤沢の文翁氏が
 
『 僕の知る限り、演出家として大事なことは三つ。
役者さんが自分の役目を理解していて、上演後に「あそこをこうすればよかった」って思ってくれること、
お客様が見終わったあとに、その話題で盛り上がり、ことあるごとに思い出してくれること
 
それから、演出家も「もっとこうすればよかった」って思うことだと思ってます。
 
つまり、未来への爪痕というか・・・・・・それが打ち上げで全部見られた』
 
と言ってくれて
 
なんだかこの言葉によって私の中では一つの大きなピリオドを打てた夜でした。
 
この企画の途中段階でいくつものことで色んな方に感謝があるので、どこから伝えたら良いのかわからないのですが、、、
 
数々のワガママをきいてくださった会場の南青山マンダラの皆様
常に温かく頼もしく支えてくださった、事務所内外、関わってくださった全てのスタッフの皆様
今回の上演にあたり、経験のない私に大切な台本を託してくれた上に、尺など変更箇所の要望にも快く応じてくれた、脚本の藤沢文翁さん。
出演者&ロウドキエのみんな
 
 
そして何よりご観劇くださった皆様、本当に本当にありがとうございました。