2.1. ь(軟音記号)とъ(硬音記号)の役割


   どちらも発音記号でьは直前の子音を軟化させ、ъは
   直前の子音を硬化させます。文字の間に挟まった
   場合は、どちらも直前の文字を軟化硬化させたうえで、
   前後の文字を連続せず発音させる働きをもちます。
   

   (例1) дождь [do∫t
] (雨)

   (例2) домъ [dom](家)(※1)

   ※1 これはロシア革命以前の表記で、日本語の旧仮名
      遣いにあたる書き方です。現在はдомと表記。

     ~~ コラム1 ~~
         語末のъ - 革命以前のつづり字


  語中の子音が軟子音となるか硬子音となるかは
  容易に決定できます。

  子音の後に軟母音が続けばその子音は軟化、後に
  硬母音が続けばその子音は硬化です。子音が
  連続する場合、あとで述べる軟子音化・硬子音化が
  起こるのでこれも判定できます。

  ところが、語末の子音は硬子音なのか軟子音
  なのか、一体どっちでしょうか? これを明示
  していたのがь(軟音記号)とъ(硬音記号)です。

  革命以前の正書法では語末が軟子音の場合はь、
  硬子音の場合はъをつけて区別していました。

   先ほどの例を出しますと、

   (例1) дождь [do∫t’] (雨)

   (例2) домъ [dom](家)

   です。ところがロシア革命後のつづり字改革で
   (1917年と1918年に通達が出ました。)
   語末のъは書かない決まりになりました。

  たしかに語末が語末が硬子音(ъ)で終わる単語は
  語末が軟子音で終わる(ьをつける)単語にくらべて
  圧倒的に多く、語末はъを省いてьのみ残せば
  印刷の手間等が省け確かに便利かもしれません。

  ただ、これにより、考え抜かれたシンプルかつ正確な
  ロシア語文法がぼやけ、ロシア語学習者を混乱
  させた感は否めないと思うのですが皆さんはどう
  お思いでしょうか?