山里は

 

 何もない

 

「辺地」と町の人は言う

 

 新聞は朝刊のみ配達される

 

 広告までつぶさに見る

 

 あっ   「マルシェ」だ

 

 コロナで久しく見なかったのに開催される

 

 ときめく

 

 おしゃれな街の匂いがする

 

 車で山を降りる

 

 「マルシェ」は若い人たちのお店が多い

 

 異国の料理を

 

 テイクアウトで提供してくれる

 

 あの「おばさん」いるかなあ

 

 毎年「マルシェ」で出会う「おばさん」

 

 年配のご夫婦で出店され

 

 家業は大工だと言っていた

 

 端材を使って素敵な雑貨を作り売っている

 

「こんなもので良かったら 持っていきな。」

 

 ぶっきらぼうだが優しい人だ

 

 

 

マグネットをつけて 冷蔵庫に貼ったり

 

壁面を飾ったり

 

親しい方の手土産に差し上げたりしていた

 

 

「おばさん」の姿を探したが、

 

 見つからない

 

 どうされたのだろうか

 

 こんな世の中だから・・・

 

 「おばさん」の笑顔を思い出し

 

  今も無事を祈っている