ストック

和名は「あらせいとう」
 
この花を見るたびに

新川和江さんの
「わたしを束ねないで」

というとても有名な詩を
思い出します。
 
今はどうだかわかりませんが、
私が国語教師だったころ、
 
中学校の
国語の教科書に載っていました。
 
確か中学三年生だったかと。
 
(自分が中学生の時に
読んだかどうかは
全く覚えていません(*_*;)
 
受け止め方には
個人差がとてもありました。
当然ですが。
 
大人になった時に
思い出してくれるといいなあ~
 
と思いました。
 
大好きな詩のひつとです。



わたしを束ねないで
   新川和江
 
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱(ねぎ)のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡す限りの金色(こんじき)の稲穂
 
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き(はばたき)
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
 
わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮(うしお) ふちのない水
 
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
 
わたしを区切らないで
,(コンマ)や.(ピリオド) いくつかの段落
そしておしまいに「さよなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩