海岸を背にし、見上げる坂道
両側に松林を従えた、その道の延長上には
白く輝く朧の満月
とても、とても美しいその光景を
私達家族4人は、生涯忘れない
それは、義父とのお別れの日の帰り道
現役時代『経理の鬼』と呼ばれた義父の顔を、私は知らない
私が知るのは、孫と一緒にいる時のにこやかな顔
全ての段取りが最適になるような、奇跡の様なタイミングで、義父は息を引き取った。
奇跡のようなタイミングで集まることの出来た、最愛の義母と長男一家そして長女一家に見守られながら。
いろいろ、色々、本当に偉大な義父だった。
坂道の延長上に白く輝く美しい朧月は、そんな義父の最期の記憶に繋がり、私達の心に灯り続ける。
ずっと。
ずっと。