愛知県犬山市の木曽川で2008年、主婦川井久美子さん(当時28)が水死した事件で、名古屋地裁は29日、殺人罪に問われた夫の中部電力社員川井正俊被告(44)に懲役19年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。川井被告は「事故だった」として一貫して無罪を主張していた。被告側は控訴する方針。
田辺三保子裁判長は「強固な殺意に基づく巧妙で計画性が高い犯行。不合理な弁解に終始して反省の態度がまったく見られず、自己中心的な態度は見過ごせない」と批判した。
判決によると、川井被告は08年6月8日、離婚調停中だった久美子さんの腹にスタンガン(高圧電流銃)で電気ショックを与えて川に沈め、水死させた。
現場に居合わせたのが当時2歳の長男だけだったため、判決は検察側が積み上げた状況証拠を検討。久美子さんの腹に電流による痕や顔に殴られたとみられる痕があり、水深が身長に満たない場所でおぼれたのは不自然として、事故ではないと判断した。川井被告が事前に威力が強いスタンガンやナイフを用意していたと指摘。長男を連れて実家に帰った久美子さんに強い憎しみを抱き、殺害して長男の親権を取り戻したいという動機があったと認めた。
弁護側は、久美子さんをその場にとどまらせようとしてスタンガンを出し、押しのけようとした久美子さんに当たり、もみ合いになるうちに一緒に川に落ちた事故だったと説明。「見込み捜査による冤罪(えんざい)だ」と主張していた。
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