先日、他の家族の勧めもあって築地の癌センターへ行ってきました
父上はこれ以上の治療は望まないものの、母としては現状が納得できずにいたので、父上のためというよりは母のための受診でした
名前が呼ばれ入ってみるととても親しみやすそうな先生がいらっしゃいました
癌センターの窓口で相談した時に、電話口の方からは「Y先生に見ていただければ間違いないですよ」と言われていましたし、ホームページでもその診療科目では一番上にお名前があったのできっと偉い先生なんだろうな…と思っていましたが、そこに座られている先生は偉そうな雰囲気を全く感じさせない方でした
Y先生は紹介状を見ながら丁寧に父上の話を聞いてくださいました
話の長い父上は、先日お世話になった耳鼻科の医師からは露骨にイライラされることもあったのですが、Y先生は嫌な顔ひとつせず、父上の話を聞いてくださいました
結局先生からは、父上の病気は欧米では早期に手術してしまえば予後の悪い病気ではないため、転移した方の症例が少ないこと、その為これといった確実な治療法が無いこと、また父上の場合かかりつけの医師から言われていた通り顔面神経麻痺を避けての手術は難しいこと等予想していた感じの話をされました
この話をされただけなら私たちも築地まで来た意味はなかったと感じたかもしれません
でもY先生はこのまま治療せずに、やりたいことをやってこのまま逝きたいという父上に対してこうも言ってくださいました
ほとんどの患者さんは効果がはっきり分からない治療に振り回されて大切な時間を失うことも多い、でも今の段階で治療をせず、やりたいことをやる時間を作りたいという決心ができる人はなかなかいないので凄いことですよ、と
医療従事者のはしくれとして生きている私ですが、医療者として私は先生と全く同じ意見でした
ただ、医療者であると同時に私は父上の娘でもあります
先生がおっしゃるそのままを言えば、母や他の家族からは共感は得られないであろうことはよくよく分かっていましたので、こんなにストレートに意見を言うことはしませんでした
なので先生からこの話が聞けたとき、とても嬉しく思いました(もちろん娘としては複雑ではあるのですが…)
父上も、自分の考えは間違っていないんだと自信を持つことができ喜びました
たたひとり母は父上の意見を肯定する先生の話に不安な表情を浮かべていましたが、その母に対しても先生は家族としてなにもしないと言うことを認めるのはとても辛いとことと、母の気持ちに寄り添ってくださいました
沢山の患者さんがいらしただろうに、私たちに長い時間割いてくださった先生
結局絶対これがよいとか、こうしなさいとかそういう話はなかったものの、それ以上の安らかな、でも強い思いを頂くことができたと感じました
私も仕事柄たくさんの医師とお会いしてきましたが、このような先生とお会いできたのは初めてでした
これからの闘病生活でとても意味のあるであろう、先生との出会いとなりました