蓮キョですが、蓮もキョーコも出てきません。


完全なるオリジナルな名前も無い人たちによる


会話です。


すみません。




『バラエティのスペシャル番組に於ける考察』






番組改編期ともなると、あちこちのテレビ局で新番組の宣伝を兼ねたバラエティやトーク番組の特番やスペシャルなど繰り広げられる。




主役であることの多い蓮も、ご多分にもれず毎度あちこちからオファーを受けるのだが、何しろ忙しい身体で、全ての番組に出られるわけではない。

スケジュールと相談しながらの出演となるのだが・・・。






あるテレビ局のあるディレクター担当のあるバラエティ番組は、今期のスペシャルに番組の存続がかかっていた。

これで数字が取れなければ早々に今期限りで打ち切りになってしまう。


彼は比較的仲の良い女性ディレクターに相談を持ちかけた。




「どうしても敦賀蓮を出したいんだ。先日軽くお伺いをたてた時にはやんわりと断られたっぽいんだけど、なんとかならないかと思ってさ。 あんたの番組には結構敦賀蓮って出てるじゃん?」


彼女は意味深に笑って見せた。

「まあね。」




「なんとか、そのコツっていうか、オファーを断られない方法を伝授願えないかなあ?」

「ううん、どうしようかなあ。企業ひ・み・つだもんねえ。」

「頼むよ、あんたが困った時には何としてでも協力するからさあ。」




彼の必死のお願いに、彼女は楽しそうに思案していたが、やがて彼を近くに手招いた。

「コツはね、京子に先にオファーを出すこと。」

「なんだそれ。」


彼は重大機密を明かすように耳打ちされた内容に拍子抜けして密着していた身体を引いた。




「敦賀君ってさあ、改編期の特番、京子が出てる時って必ずっていうぐらい出てるよね?」

「えー、そうか? あれじゃない? 事務所が敦賀蓮の出るとこに京子をついでに出してんじゃ?」

「そうも思ったんだけどねえ。敦賀君より、京子の方がバラエティでは使いやすいって言うか、あの娘おもしろいじゃない?」

「ああ、確かに。表情豊かだし、着眼点も面白いしね。それだけじゃなくて、頭もいいし、礼儀正しいし。」

「そうなの。だから、私はいつも京子にオファー出す方が先なのよ、ここ数年は特に。」


「まあ、京子はもともと女優じゃなくてタレントだし、まだ新人扱いに近いから、特に考えもせずにオファー出してるけど。」





「京子のスケジュールがあわなくて、断られた時には敦賀君にも断られることが多いのよ。」

「偶然だろ。あんたそれ、どういう意味だと思ってるわけ?」




「そこがねえ、わからないんだよね。 付き合ってるとしたらわざわざ毎回一緒に出たりしないと思うでしょ?それにあの二人ってそういう雰囲気じゃないんだよね。京子は敦賀君を尊敬してて目標だって公表してるんだけど、恋愛って感じに見えないし。 敦賀君はねえ・・・すごく優しい顔してる時があるんだけど、二人の会話聞いてるとわかんなくなるよ。」




「そうだなあ、先輩後輩あるいは兄と妹みたいな親密な空気ではあるけど・・・。 妹分をほっとけない、とか?」

「あー、確かにそれはあるかもしれないわ。 京子ってすごくきれいになったもんね。 でも京子の方がたぶんバラエティ慣れしてるから、それもどうかと思うしね・・・。」




「で?」

「だから、試しに京子を餌に敦賀君を釣ってみなさいって言ってんの。 あと、あれよ、女好きって冠ついてそうな俳優とかタレントを何人か入れとくと、たぶん間違いなく釣れるわ。」

「マジかよ。」

「私の経験則だけどね。 まあ、ヘタすると京子の出演の方に事務所がバツ出すかもしれないから、あんまりタチ悪い男を何人も入れちゃだめよ。まあ、そこそこの色男を一人か二人、敦賀君のライバルっぽい人がいいかもね。」





彼女の言葉に、彼は「抱かれたい男」ランキングの上位数名を思い浮かべた。




「ぜひ、私の説を証明してちょうだいね。結果を楽しみにしてるから。」

「俺、実験してる余裕はないんだけどなあ。まあ、他の手も思いつかないから、あんたの言うこと試してみるよ。」






さて、この後、彼女と彼の思惑通りになったかどうか・・・。




ちなみに彼の番組はその後も放送を続けている。




                         FIN