初のパラレルです。

ジャイアント見てて(聞いてて?)、

小西さんの「お嬢様」って呼びかけにやられました。

とりあえず、その声で「お嬢様」って呼びかけてほしくて。

こんな話になっちゃった。

すみません。


☆☆☆☆☆☆



ENGAGE(エンゲージ)


1、 蓮


物心ついたころには、俺はもう彼女と一緒にいた。

それぞれ何らかの事情で引き取られた福祉施設の教会で、

俺と彼女は出逢って一緒に育った。
よちよち歩きだった彼女は何が気に行ったのか、

他に何人も彼女を可愛がる子どもはいたのに、いつも俺の後をついてきた。
俺はそんな彼女が可愛くて可愛くて、何があっても彼女を守ると、

子ども心に誓っていた。


「いつまでも一緒だよ。」
満面の笑みを向けてくれる彼女に、聞きかじりの知識で神様の前で

誓いのくちづけをしたのは、俺が10歳、彼女が6歳の時だった。



それから2年後、俺たちの人生は激変した。
養子とする子どもを求めて訪れた裕福そうな夫婦が

彼女をたいそう気に入ってしまったのだ。
正確に言えば、奥様の方がだったけれど。
娘がどうしても欲しかった奥様は、利発で運動能力も高く、

性格も申し分ない彼女を気に入り、ぜひとも養女にと申し出た。
家族ができると知って、最初喜んでいた彼女は、

俺と離れると聞いた途端、火のついたように泣いて皆を困らせた。
「蓮と一緒じゃなきゃいやあ。」
いつも周りを優先させて、自我を通したことのない彼女の

初めての、唯一のわがままだった。



女系家族だという奥様は、男の子は養子にするつもりはないと言い張ったが、解決策を出してくれたのは、婿養子だという旦那様だった。
彼女の家庭教師とボディーガードと、ゆくゆくは彼女の仕事のサポートになるように、自分が教育すると仰って下さって、彼女は旦那様と奥様の戸籍に、俺は使用人として引き取られることになった。


別に俺は立場の違いに不満はなかったが、旦那様は気にしてくれたのか、こっそりと耳打ちをしてくれた。
「お前が頑張って勉強して、立派な男になれば

いずれ彼女の夫として籍に入ることになるさ。 

今兄妹として入るよりその方がお前のためにもいいだろう?」

今にして思えば、12歳の子ども相手にずいぶんくだけた人だと、

呆れ半分感心するが、その頃の俺はただ感謝することしかできなかった。
「ご期待に添えるように、がんばります。」