4、キョーコ


「復讐かなっちゃいました。 
復讐のために入った世界だったのに。 
これから私、どうしたらいいんでしょう?」
途方に暮れたまま、私はショータローとのいきさつをかいつまんで話した。


敦賀さんは私が話し終わるまで、ずっと難しい顔をして黙って聞いていてくれた。



「前に君は俺に言ったよね? 演技することが楽しいって。
復讐なんてマイナスなモノの中からは楽しいって言葉は生まれない。 
きっかけは確かにそうだったかもしれないけど、
復讐のために演技したことはなかった、だろ。
君は自分を作るためにやってきたんじゃなかったのか? 
大丈夫。 君はちゃんと自分を作っている。 
だけど、まだまだ途中だ。 
それなのに、もう投げだすつもりか?」


「途中ですか。」
「それはそうだろう。 俺もまだ途中だよ。」
「敦賀さんも?」
「俺だって演じていて、まだまだだって思うことはいっぱいある。 

目標にはなかなかたどりつけないしね。

・・・君の目標は何?」
「敦賀さんです。」
私の即答に、目を瞠った敦賀さんはやっと微笑んでくれた。


「・・・それは光栄だな。 でも俺は同じところに留まっていないよ。 

どんどん高みを目指す。 君はどうする?」
「もちろん追いかけます。」


売り言葉に買い言葉みたいなものだった。
この人は私を挑発するのがうまい。
おかげで、迷路にはまりこんでいた私は浮上することができた。


「それに、社長が放してくれるわけないじゃないか。 お気に入りのラブミー部員第1号を。」
「恐ろしいことを言わないでください。」
やっと笑える。