「さて、2問目。 京子さんはお芝居をはじめてどれくらいだっけ?」
「養成所にはいったのが、DARKMOONが始まるちょっと前くらいでした。」
「そうそう、まだ役作りを習ってないって随分悩んでたよね。」
「はい。 その前に友達に言われたことと、敦賀さんに言われたことが真逆で、どちらが正しいのかわからなくなってしまってぐるぐるしました。」
「友達はなんて?」
「台本に書いてあることを忠実に表現すればいいって。」
「そうだね、それも確かに間違ってはいないと思うよ。 
だけどその役を深く考察し背景を考えることで生まれる役柄もある。 
京子さんはどっちかといえば俺に似て役に同化するタイプだから・・・
どうした?」
「そう言っていただけて、すごくうれしいです! 
敦賀さんに似たタイプだなんて、おこがましいことこの上ないんですけど。 敦賀さんは目標ですから!!」
「いや、俺の方こそ、君から学ぶことが結構あるんだ。 
俺はそんなにたいしたヤツじゃないよ、ワカゾーだし。」



「京子ちゃんはホントに敦賀さんのこと尊敬してるんですねえ。 番組的にはもうちょっと甘い感じが欲しいとこですけど、役者同士、先輩後輩って感じでも充分いけますね。」


――この二人に甘い感じを求められると、困るんだけど。 それはもう
砂吐くくらいに、甘くなっちゃっていいんなら止めないけど・・・。



プロデューサーの狙いがそれてくれてよかった、と社は心の中で安堵した。