「『京子がいっぱい』ですか?」


キョーコは椹と一緒に、オファーのあったテレビ局のプロデューサーとの打ち合わせに出向いていた。


「いろいろな京子を見てもらうっていう意味で、
そういうタイトルのコーナーにしようかと。」


「『京子がしっぱい』とか『京子がいっぱいいっぱい』とかの方が
いいかもしれませんよ?」


「面白い事言うんだね、いいねえそういうのも。 
いやいやタイトルのことじゃなくて、
そういうユニークな発言を出して行ってもらえればいいな。」


「はあ。」


社長自らの企画ということで、
キョーコは不安いっぱいで椹と顔を見合わせる。


「LME全面協力ということで、京子さんと交流のあるLME所属の俳優さんやタレントさんと話をしてもらうという単純なものですから、そう心配することはないですよ。」


キョーコの不安をくみ取ったプロデューサーが
笑いながらフォローする。


「はあ。」


「今出ているのは松内瑠璃子ちゃんとスイーツバイキング。 
上尾君子さんを手作りの和食で接待。
ブリッジロックのみなさんとカラオケ。 
琴南奏江さんとショッピング。 
最後に敦賀蓮さんとドライブ。
以上5本の予定です。」


――モー子さんとショッピング♪ 
瑠璃子ちゃんとスイーツバイキング!? 
上尾さんとも初対面はあんな感じだったけど、
あの後いろいろ教えてもらったりして、
厳しい人だし気分屋なとこはあるけど
なんとか友好的にごあいさつさせていただいてるし。 
カラオケなんてあんまり行ったことないけど
光さんたちと一緒なら楽しそうだし。 



最後の一項目はあえてスルーしたキョーコは瞳を輝かせて、
OKしてしまった。



「できればタイトルはもうちょっと考えてもらいたいですけど・・・。」