「お~い。飯はまだか?」

 切り株の上に座る無精ひげのおっさんが飯を催促してくる。

 僕は曖昧に「もうすぐです」と返しておく。

 5分おきに飯を催促してくる『勇者』にイラつきを覚えつつ、ゆっくりとたき火の上の鍋の中で煮えるシチューをかきまわすのだった。



 僕の名前はエド。♂14歳。

 僕の故郷であるアルファディア王国は、近年モンスター達に悩まされていた。

 モンスターというのは、姿がさまざまでゴブリンであったり、ガーゴイルであったりなどの知能を持つ怪物の事だ。

 そのモンスター達は国の周りの森などに群れで生息していて、たまに食べ物などを手に入れようとして国に侵略してくる。

 モンスターは強いわけではない。 

 が、放っておけるような数ではないのが面倒なのだ。

 少なくとも攻めてくるときは十体以上で来るので、兵士達もそこそこ命の覚悟をしなくてはならない。

 そこでアルファディア王国は『勇者』を募集することにした。

 勇ましくモンスターを倒してくれる者を国王は勇者と名付け募集。

 命の危機の代償として金や銀を差し出すと付け加えて。

 すると金品ほしさに応募が殺到。

 王は喜ぶ反面、財政を圧迫するのではないか?という疑念から「勇者は強くてはいけない。よって応募者全員でトーナメントの武道大会を開催する。そこで優勝した者を勇者と認定しよう」と決めた。

 そしてその武道大会で優勝したのが、先ほどからシチューをよこせとせがむおっさんなのだ。


 勇者の名はコール。♂30歳。

 家庭的なことが一切出来ない無精ひげのおっさん。

 僕は彼に頼み見習いとして同行することになったのだが、その旅は予想と大きく違っていた・・・。