辻村深月の『オーダーメイド殺人クラブ』です。


オーダーメイド殺人クラブ
辻村 深月
集英社
売り上げランキング: 47341
















辻村深月の『オーダーメイド殺人クラブ』ですよ。

僕は辻村深月作品は『冷たい校舎~』『太陽の~』に続き3作目です。読んだ2作では、ドロドロした感じが合わないなぁ(特に『太陽の坐る場所』)でも、ミステリとしては上手くて騙された感じが気持ち良いなぁ、という感じの感想でした。


でも今作で、辻村深月の評価が一変しました。これは良い!!とっても面白かったです。






内容は、


女子中学生の小林アンがある日突然、仲の良いクラスメイトから理由も分からずにシカトされるようになったとき、隣の席に座っていた気持ちの悪い男子であるハズの徳川の呟きに助けられて、アンは仲間外れから抜け出すことが出来た。


ある日河原で徳川が何かを蹴っていたのを見つけた。徳川が去った後見てみると、それは、血に塗れたビニール袋だった。アンはそれに興味を示した。

徳川には分かってもらえるかもしれない。アンは、意を決して徳川に頼んだ。
「私を、殺してくれない?」








という話です。

(すみません、この記事書いたの半年ほど前なんですが、上記の内容紹介、自分で書いた覚えがないのでどっかから持ってきたんだと思いますが、全然覚えてないです。)









最初のウチは読みながら、最近読んだ湊かなえの『少女』を思い出したんですよ。


あれは登場人物の女の子が死体が見たいとか言いだして、死体を見るために死体に一番近づけそうな老人ホームにボランティアに行く話でしたが、なんでか知らないですけど中学生のころって死体や殺人・自殺になんとなく興味があったりするんですよね。僕もそうだったかもしれません。




で、おそらくこの話は段々と残酷な感じになるんだろうなと思って、中学生モノの小説に特有のイタイ展開を予想してちょっとゲンナリしてたんです。


でも全然違いました。






今作のキモは主人公のアンが「今までに誰もしなかった死にかたをして、マスコミに取り上げられて世間がずっと忘れないような大事件にしたい」と言って、そんな残酷な殺人事件を起こせそうな徳川に、自分だけのオリジナルの死に方をオーダーメイドするところですね。



気持ち悪いクラスメイトである徳川としゃべってるところなんて誰にも見られたくないので学区の外で誰にも見られないように待ち合わせをして、どんな死に方だったらみんなの記憶に永遠に残り続けられるかを話し合い続けます。加害者と被害者で事件を作り上げて、前代未聞の陰惨な事件を起こすために話を煮詰め続けて、そして決行の日・・・。





あぁ、もうこれ以上は言えないですね(笑)。



でも読みながら


「これ本当に殺したりはしないんだろうなぁ。なんだかんだ理由をつけて殺すのやめてハッピーエンドみたいな感じになるんだろうなぁ」






なんて思いながら読んでたんですけど、でも読んでるウチに、




「これ殺さないで、話にオチつけられるのか?すっげーガッカリするオチになるんじゃないか?」




と思っちゃって、違う意味でハラハラしてきたりしました(笑)。






で、ラストですよ。

なんか知らないんですけどものすごく泣けました。

泣くような話でもないと思うんですけど、なんか感動しました。

肩すかしなオチを予想してたんですけど、どんでん返しとかも特になかったのに、なんか予想を裏切られて、それがすごい感動するんですよ。

いや、もうこれ以上は語れないです。

読んでみてください。





オーダーメイド殺人クラブ
辻村 深月
集英社
売り上げランキング: 47341