綾辻行人の
『殺人方程式―切断された死体の問題―』です。




この人がのちに『どんどん橋、落ちた』を書くんだなぁと思うとなんだか感慨深いですな。




殺人方程式 〈切断された死体の問題〉
綾辻 行人
講談社
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内容(「BOOK」データベースより)
新興宗教団体の教主が殺された。儀式のために篭もっていた神殿から姿を消し、頭部と左腕を切断された死体となって発見されたのだ。厳重な監視の目をかいくぐり、いかにして不可能犯罪は行われたのか。二ヵ月前、前教主が遂げた奇怪な死との関連は?真っ向勝負で読者に挑戦する、本格ミステリの会心作。













今回は作者が『館シリーズ』の世界観から脱却して世間によくあるようなミステリを趣向して作った、警察が出てくるタイプのミステリです。死体はミステリらしく頭部と左腕が切断されていて、あとがきで読者にその理由を推理するように要求している点も綾辻行人が今作に本格ものとしてプライドを持って挑んだであろう証拠と言えるのではないでしょうか。






章立ても趣向が凝らしてあり読んでいて面白くなるような構成になっていて、プロローグは物語を全編読んだあとにもう一度読み返したくなる伏線が張ってありました。




そして事件のトリックは、今時珍しい(?)コテコテの物理トリックでした。正直読んでいて「こんなんアリ?」と思ってしまいましたが(理由は色々ありますが、一番は実現可能性であり、二番はコレを見破れなかった警察はアホなんじゃないか、と思ってしまうからですが)、犯人を知ってあぁなるほどと納得。まぁここら辺の構成は『どんどん橋、落ちた』を後に書く作家であるということを知っていれば、ミステリを知的な論理パズルとして挑んでいる綾辻行人のスタイルが如実に表れているのだと解釈することができると思います。




主人公が実は双子で(別にネタバレではありません)、その兄のほうが少し御手洗潔みたいで萌えましたね。この、必ずしも必要ではなかったと思われる設定が僕にはツボでした。次作も読んでみようと思います。









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綾辻 行人
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