石持浅海の『扉は閉ざされたまま』です。






まずはあまりにも素敵な、著者のことばから紹介しましょう。




<著者のことば>
「鍵のかかった扉を、斧でたたき壊す」
本格ミステリの世界にはよくあるシーンです。「そうではない」話を書こうと思いました。閉ざされた扉を前にして、探偵と犯人が静かな戦いを繰り広げる。この本に書かれているのは、そんな物語です。対決の立会人はわずかに四人。あなたが、五人目です。




おおおおおおおー!!

↑あまりに興奮しすぎておかしくなりました(笑)。



扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持 浅海
祥伝社
売り上げランキング: 186583







内容(「BOOK」データベースより)
大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。“あそこなら完璧な密室をつくることができる…”伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。


















自分であらすじを書くのが面倒なのでさらに、出版社からの紹介文も下記に掲載。



出版社 / 著者からの内容紹介
密室殺人、完了
完璧に騙せたはずだった
ただひとりの女性をのぞいては
緊迫した攻防をシャープに描く
“同窓会”ミステリー
照明は、点けたままでいいのだろうか?
暗くなっていく時間帯に、入浴時に部屋の照明を消すだろうか。
消さない、というのが伏見の結論だった。
照明のスイッチには手を触れずに、再びドアノブを握った。ゆっくりと引いた。
どん、と音がしてドアが閉まる。
よし。
伏見は一人うなずいた。
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城(せいじょう)の高級ペンションに七人の旧友が集まった。〈あそこなら完璧な密室をつくることができる〉当日、伏見亮輔(ふしみりょうすけ)は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳(うすいゆか)だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬(そご)をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。

















どうですか??これだけでももう充分、これ、面白そうじゃないですか(笑)。
『倒叙もの』であるため、ドラマ『古畑任三郎』のように犯人が犯行を犯すシーンから始まります。誰が(フーダニット)と、どうやって(ハウダニット)が事前に分かっているのです。









なので今回は『探偵役がどうやって犯人の犯行に気付き追いつめるか』という推理の道筋を楽しむ作品になってるわけですね。読者の目には完璧に見える殺人劇のどこに過ちがあったのか、ですね。














犯人はお酒に酔った被害者を首尾よく眠らせて、浴槽の中に顔を押しつけ殺害、そのあと被害者の服を全て脱がせて『お風呂に入っている間に眠ってしまい溺死してしまった死体』を作り出し、密室を作成して部屋をでます。








密室を作り出した部屋の『扉は閉ざされたまま』で、その中で起こっていることに疑問をもった探偵役の女性が執拗なまでの論理展開で、中で何が起こっているのか、犯人は誰なのか、動機は何なのかを推理していきます。









探偵役の女性が、最も信頼できる男性と2人で議論を交わして事件の真相を推理するんですが、


その男こそが犯人です!!


犯人は相手の推理に応えつつ、どうにか矛先をズらそうと頑張るんですが・・・。









推理の全てが、もっともらしいとは言えないと思うのですが、蓋然性の問題だったような気がします。僕は割りと納得できたのですが、ひっかかった人も多かったようですね。賛否両論あるでしょう。途中、明らかに苦しい展開もありましたが、それでも緻密すぎる論理展開で事件をズバッと解決に導きました!『扉をあけることなく』、中の様子を明らかにする手腕には驚きの一言。









なぜ密室を作ったのか、や、動機はなんだったのか、など、読者が疑問に思ってしまうようなところにも明快な解答が用意されている点も素晴らしかったです。まぁ動機は・・・ゴックンと飲み込めない方も多かったかもしれません。でも、僕はこの動機の設定を考えたところがすごいと思うので良かったですね。これはこの動機を考えなければそもそも密室を作る理由もないですし、完全犯罪だったかもしれないと思えば、そういう意味でも動機が良かったんじゃないでしょうか。








2006年版の本格ミステリ大賞で最終候補作に残り、このミステリーがすごい!及び本格ミステリベスト10では共に第2位に、週刊文春ミステリーベスト10では第5位にランクインしたらしいので、とりあえず世間的には名作の域でしょう!!






ロジックものが好きな人には是非お薦めです。











そして物語がそこで終わらないのも良かったですね。同窓会、という設定ならではの甘酸っぱいシーンもあったりなんかして、面白かったです。


これが石持浅海の『倒叙三部作』の一作目らしいので、追っていこうと思います。




扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持 浅海
祥伝社
売り上げランキング: 186583











読んだ方・読みたいと思った方はクリックお願いします!!
人気ブログランキングへ