■国会機能維持条項は、緊急事態条項の言い換えでしかありません。
―――ご存じですか? 国会議員の議員任期延長に関する憲法改正骨子案が提示されたことを―――
 自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院「有志の会」5会派は、大規模災害など選挙実施が困難である事態が起きた際、国会機能を維持するため国会議員の任期の延長を可能とする骨子案を憲法審査会の幹事会に提示した(2025,6,12)。
* 概要
 自然災害、感染症の蔓延、武力攻撃、内乱、テロなどが起きて、広範な地域で国政選挙を行うことが長期間に渡り困難であると考えられる時、国会議員が不在となるのを防ぎ、国会の機能を維持する為に、任期の延長を可能とする内容です。
 
■選挙困難時での議員任期延長の改憲は、本当に必要でしょうか?
 選挙困難時について日本国憲法はどのように考えているのでしょうか?
*  憲法第54条2項の参議院の緊急集会があります。衆議院が解散されている時、大災害のため選挙困難となった場合、内閣は参議院の緊急集会を求めることができるとしています。
 そして、召集された参議院の緊急集会で予算や法案を決議します。この措置は、次の国会開会後10以内に衆議院の同意を得ない場合は、「その効力を失ふ。」とされています。
  このように災害などで政治・行政に空白が生じないように憲法に明記されているのです。

・参議院の緊急集会が召集できない場合
 永田町の直下型地震で国会議事堂が崩壊したような参議院の緊急集会が召集できない場合があります。災害の前に国会が制定した法律で厳格な要件の下に内閣は緊急時に罰則付きの政令を制定できることが憲法に明記されているのです。
 これらの法律の例を挙げると、災害対策基本法(109条、109条2項)、大規模地震対策特別措置法(13条1項)、警察法(72条)、原子力災害対策特別措置法(15,16条)、自衛隊法(83条)が挙げられます。
 これでも緊急事態への対応として議員任期延長の為の改憲は必要でしょうか?
 
* 国会機能維持条項創設への反対意見
・立憲民主党 武正公一氏「東日本大震災と同じ規模の地震が起きたとしても、現行の繰り延べ投票で対応可能であり、『選挙困難事態』の立法事実はない」(衆院憲法審査会 2025,6,12)。
・レイワ新選組 山本太郎氏:ここまで改憲を急ぐのは、資金力のある改憲派に有利な国民投票法のままの方が改憲を行いやすい(から)。どこまで行っても邪悪と批判。(参院憲法審査会 2025,6,18)(筆者概略)
・社民党 福島みずほ氏 「選挙困難事態を想定しての国会議員の居座り」、「内閣が国民の選挙権の行使を禁止し、民主主義の過程を通じて国会が、内閣が造られることを阻止するもの」と批判。(前述 同委員会同日)
* 国会機能維持条項への賛成意見
・自民党:船田元氏「次のステップに向けた大きな前進だ」と強調(幹事会後の
衆院憲法審 2025,6,12)
・公明党:次の国会で建設的議論を行うように求める。
・日本維新の会、国民民主党:骨子案を基に条文案を作成する作業に取り掛かるべきと主張。
 
* 私たちは、議員任期延長の為の改憲に反対します。
戦争や感染症の蔓延、大規模な災害などの選挙困難(=非常事態)に対し、国会議員の延長を図る憲法改正は一見必要に思えるかもしれません。
このための改憲は必要ありません。
 任期の延長は、「延長の延長」も考えられ、「選挙権を行使する民主主義の過程を通して国会が、内閣を造る」国民の権利行使を奪うもので、絶対に認めることはできません。
 国民の選挙権を奪うことは、更なる国民の権利と自由を奪い、延いては平和が奪われることになるでしょう。
 絶対に認めること、許すこと、受け入れることは出来ません。
 
・今なすべきことは
 憲法を代えることではなく、重い税負担・社会保障料、高額の学費、物価高、30年上がらない賃金などから来る国民の苦しみの改善・解消です。
 
             草の根 立志会