かたじけのうござる。



時代劇ではよくこんな台詞が使われ、


「不精髭の武士がスッと

頭を下げ足早に立ち去る」


そんな場面を見ることがある。


いかにも申し訳なさそうに、

しかし背に腹はかえられぬとばかりに

相手の厚情を潔く受け入れる。


そんな情景である。




時代劇もテレビでやらなくなり、

ましてやこんな台詞を使う緊迫した

場面などに生まれて以来

遭遇したこともなく、

全く周囲の環境からこんな

『かたじけない』という言葉を

最近では聞いたことがない。


繰り返し言葉を口にすればするほどに

どういう意味なのかあやふやな感じになり、言葉の語源なんて

全く検討もつかないのである。




『かたじけない』とは

何が無いと言うのだろうか?







まず意味合い的には

どんな状態なのだろうかと

考えてみる。




●恥ずかしい気持ちもある。


●普段なら誇りが重んじられるが

今はそれを言ってられない状態。


●悔しいが相手の情けにすがるべく

切羽詰まっている境遇で

穴があったら入りたい。


●しかし相手の気遣いと優しさに

感謝と恩を感じ、

未来永劫忘れること無く

必ずやこの恩返しを約束する

と言う強い決断。


●時にはかたじけないと言いつつも、

毎度の事で申し訳ない程度に

返す言葉だったり。


こんな人は袖に両腕を突っ込み

顎を擦りつつ大あくびをしながらの


『かたじけない』








言葉としては

どういう組み合わせ

なのだろうかと

足りない頭で考える。




●(かたじけ)+(ない)


『かたじけ』と言う何かがあり、

それが無い状態。


かたじけがあるときは誇らしく

満ち足りているが、

無くなると頭を下げなければ

生きていけなくなるようだ。


そんな『かたじけ』とは何だろうか。


『かたずけ』だと整理整頓されているが、

無くなると散らかり放題。


頭を下げて片付けて貰う機会も

あるだろうが、

掃除業者に頼んでも『かたじけない』と

平身低頭に言っている人に

巡り会った事がない。


●(かたじ気)+(無い)


空気感として感じられるような

気配の中に『かたじっ気』

と言うものがあり、

それが無いのだろうか。


かたじっ気があると経済的に裕福な人が

醸し出す雰囲気があり、

落ち着いた余裕や選択肢がいくつもある

状態で何れにしようかなと迷うほどに。


地の気配が溢れてこぼれ落ちる感じで

とてもとても過多で困っちゃうなーと

蝶ネクタイをビヨーンと引っ張りつつ

こっちを見てくる嫌な奴。


ならば不精髭で恥ずかしがりながら

『かたじけない』と言って

すり寄ってくる奴の方がいいですな。


●(肩)+(じけない)


『肩肘を張る』ったり

『肩で風切る』様な

こちらも緊張したり横柄な態度で

ズカズカ来られる感じでもなく、


『肩透かし』を食らって

思わず前のめりにつんのめったり、


逆に『肩の荷』を降ろさないと

息をつけないほど厄介な感じでもなく、


こっちが何も聞いて無いにも関わらず

大層な『肩書き』を並べてくる

鬱陶しさに『肩が凝る』事もなく、

私は『じけない』奴なのである。


「だから金貸してよね」

感じさせる様な『肩じけない』

相手には頑張って生きてもらう以外

こちらは何も望まない。


というか生きている貴方の存在そのものが

こちらの生き甲斐なのだと感じさせる

『肩じけない』という人物は

貴方にとって大切な存在であろう。



これは大事にしないと

いけません。







さて、それでは

『かたじけない』が、

ここらで AI に

相談してみよう。




『かたじけない』は (忝い/辱い)という漢字で当てはまるようである。


そして要約すると、


●感謝の気持ち


●身に余る恐れ多い気持ち


を持って、


「ありがたい」

「もったいない」といった

心の内を表して言う

古風な表現であるそうだ。


簡単にいうと、

とても深い『ありがとう』

意味だそうです。




更には、(かたし)+(ある)

が語源とされ(難し)+(有る)

から来ているという。




なに~、

無いじゃなくて有るのか❗






【かたし(難し)】とは

古語で『むずかしい』『めったにない』

そして『ありがたい程に貴重』という

意味であり、

『かたし』が既に否定の意味が

含まれているので『ない』ではなくて

『ある』なのである。


ややこしや~


このことから 『かたしある』(めったにない程

貴重である)となり

(お受けするには勿体ない)となるのである。




肯定的な『かたしある』なら、授けていただくものが貴重なもので

大変立派だと仰々しく上げて奉ることと

なる尊敬語ということだろうか。


そして

否定的な『かたじけない』

なら、受け手の我が身を蔑み

小さく小さく表現する謙譲語なのだろう。


私のようなものには勿体ないと

おでこで畳を擦り切り

涙でイグサを膨張させて

スルメのゲソのようにしてしまって

悪~ござんしたと

ひたすら頭を下げ続けるのである。






このような極端な表現方法で

気持ちを伝えようとする日本語は

潔く響き大変美しいと思う。


こんな『ありがとう』

日常的に使いたいものである。


言葉は流転し角が取れ丸く優しくなり

簡素で軽~くなりガチであるが、


心に抱く相手への大いなる感謝の気持ちは

いつの日もどんな時代においても、


満ち過ぎて溢れ出す

程にまでただひたすらに

丁重に相手に

伝えたいものである。



『かたしある』

『かたじけない』


貴方はどちらを使いますか?







この道の 長きに渡り 粛々と

一生浪人を貫き通すは

我が天命なり。



読んでいただき感謝です。

毎月5日、20日に

新着ブログの投稿予定です。