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＊以下引用＊

食生活に関して読んだり聞いたりすることを、全て信じてはいけない。ここでは、口にする前に知っておきたい、食べ物に関する間違ったうわさを5つ紹介する。

1. 炭水化物は最高のエネルギー源？

昔から、運動する前やエネルギーを上げる必要があるときは炭水化物を取るべきだと言われてきた。しかし、これは古い「迷信」だ。精白パンや精白小麦粉、穀物類、パスタなどの炭水化物は従来、最高のエネルギー源だと考えられてきた。だが、新たな研究から、健康的な脂質の方がより楽で効果的にエネルギーを作り出せ、体に良いことが分かっている。

健康的な脂質を含む食品はアボカドや木の実、種子、天然のサーモン、健康な食用油（オリーブオイルやココナッツオイル、中鎖脂肪酸油など）がある。こうした脂肪を摂取すれば、より早く満腹感が得られ、それが長時間持続する。これこそ、元気に活動を続けるために必要なエネルギーを補給する鍵だ。また、健康的な脂質は、脳の力を向上させる上で最高の食べ物だということも分かってきている。

このことについては、ジョゼフ・マーコーラ著『Fat for Fuel（脂肪を燃料に）』、デービッド・パールマター著『「腸の力」であなたは変わる』などを参照した。

2. 減量にはカロリーカットが最も重要？

現在、健康やフィットネスの専門家の間では、毎日食べる脂質、タンパク質、炭水化物の総グラム量を数える「マクロ管理法」が盛んに議論されている。マクロ管理法を通して結果を出すことは可能だが、私としては摂取量より、実際に食べる食品の質に注力するよう勧めたい。

2つの食品のカロリー値が同じだったとしても、栄養満点のサラダの方が冷凍食品よりも断然健康的だ。（たとえ冷凍食品に「健康的」や「低脂肪」のようなうたい文句があったとしても、だ）

体が最適に機能するには、特定のビタミンやミネラルが必要となる。脂質や炭水化物、タンパク質の量を計算する代わりに、こうした重要な微量栄養素（ビタミンA・B、カルシウム、カリウム、鉄分、マグネシウム、塩分など）を十分に摂取しよう。

カロリーの値が同じであれば、食品の種類が違っても関係ないという考え方には一理ある。しかし、より健康的な体になって、よりホリスティック（全体的）な考え方を実践するためには、自然食品を食べることも重要だ。健康的なライフスタイルを実現すれば、最終的には減量し、リバウンドを防ぐこともできる。

3. 有機食品の方が絶対に良い？

加工食品の売り文句を信じるのはやめよう。包装に「無脂肪」や「グルテンフリー」と書いてある場合は、砂糖が多めに入っていることがほとんどだ。

反対に、ラベルに「オーガニック」「有機食品」と書かれているからといって、それが健康的な食品であるとは限らない。食料品を買うときは、加工ができるだけ少ないものを買うようにしよう。

4. 〇〇ダイエットさえすれば痩せる？

どんなダイエット法が今月の健康雑誌の表紙を飾ったとしても、減量・リバウンド予防にクラッシュダイエット（毎日のカロリー摂取量を極端に減らすダイエット）が良くないのは明らかだ。減量に近道はない。

パレオダイエット（野草や野生動物を食べた旧石器時代の食生活を真似る。原始人食とも呼ばれる）やケトジェニックダイエット（ケトーシスの状態になるくらい脂質を多く炭水化物を少なくする。糖質制限ダイエットの最高峰とも呼ばれる。）などの食生活のどれを実践しても、減量が成功するのは、その食生活を健康的なライフスタイルの一部として取り入れた場合のみだ。

ダイエットの成果を出すためには、明らかな変化が出るまで続けなければならない。これは72時間でも、2週間でもない。健康的な食生活は人によって違い、自分と自分の体に何が合っているかを見極めるまでには時間と労力がかかる。自分のライフスタイルに合う、バランスの取れた食事をし、月、水、金とか、火、木、土とか、週に3〜4回運動をすることが減量とリバウンド予防の最善策だ。

あるいは、筋力トレーニングは運動の間に48時間おいて、筋肉が修復できる余裕を持つことで強くなることを忘れてはいけない。48時間の間を置かないと、筋力トレーニングしてもあまり効果が得られなくなり、むしろ疲れ切ってしまう。

イリーナ・コンボーイ博士率いる研究チームは、ある研究で、70歳の高齢者の筋肉萎縮を、運動によって逆転できることを実証した。

加齢によって「筋肉減少症」と呼ぶ骨格筋の自然な減少がおきてくる。これこそ、高齢者たちの自立力の喪失や機能的衰弱の大きな原因になる。「筋肉減少症」は筋肉の強度や、筋肉の質量の減退で、ホルモンの変化、神経系の衰弱、貧弱な食事、不活発化が、この老化現象をおこす。

製薬会社たちは競って「若さの泉」のような薬の開発にいそしんでいる。製薬会社たちはさまざまな薬で筋肉の減少を遅くし、健康を改善しようとするが、加齢による衰弱を防止する標準的で最も安全な方法は運動とよい栄養だ。

なかでも筋力トレーニングは重量に耐える運動であり、骨粗鬆症のリスクも下がり、加齢による骨盤損傷、手首の骨折、脊椎のカルシウム損失、骨の希薄化を防止できる。

骨盤骨折からの回復はとても大変で、骨折の翌年に死亡する確率は58%もある。骨粗鬆症と、その後の骨折治療に掛かる医療支出は2002年の人口統計標本調査によると160億ドルにものぼり、大きな金銭的負担にもつながる。寝たきりになったり、QOLも一気に下がる。

しかし、運動はそれをさけられる。

イリーナ・コンボーイ博士の研究チームは、普段、座ってばかりいる高齢の婦人に12週間の運動プログラムをやってもらった。すると、筋力トレーニングによって、上体の強度が58%、下肢の強度が68%、認知機能が19%改善されたことを実証した。研究者らは、運動が、上体と下半身の衰えの改善、認知能力の改善につながったという結果を得た。

運動のなかでも、とくに、筋力トレーニングは、筋肉質量と強度が増すに連れ、新陳代謝も促し、減量を維持でき、変形性関節症による関節の損傷も防止することもできる。

運動をせず不活発でいると、使わない筋肉が減退し、大きな関節の損傷リスクが高まり、関節炎による変性や疼痛につながるが、運動はそれらを克服し、心臓血管の健康を促進し、血圧を減らし、2型糖尿病の予防や管理を容易にできる。さらには、脳の灰白質萎縮を軽減し、認知症も予防できることがわかった。

また、これまでに公表された16の研究によって、運動と筋力トレーニングは日常的な不安のみならず、社会不安障害（SAD）を含めた不安障害も軽減できることがわかった。日常的に運動する人は、しない人たちに比べて、不安を25%も少なく感じること、運動が沈鬱した気持ちを迅速に高揚させることがわかった。実際に薬よりも運動のほうが効果的で、症状はより軽くなる。

「JAMA Psychiatry」に最近掲載された、約2,000人を対象にした33件の検査についてのメタ分析研究によると、筋力トレーニングが、うつ症状を大幅に軽減し、これは、参加者の健康状態、体力の改善や筋力トレーニングの量に関わりなく当てはまることが分かった。

アイルランドのリメリック大学体育学・スポーツ科学部修士コースの研究者で、この研究の主任執筆者ブレット・ゴードン氏によると、最も改善したのは、軽度から中度のうつ症状がある人がエクササイズを行った場合であり、これはうつではない人より効果があった。つまり、筋力トレーニングは、うつの症状が重い人に最もよい効果があった。

さらに、うつ状態の高齢者に関するある研究では、筋力トレーニングを10週間行った後、80%の人がうつの症状が大幅に軽減された。うつ病の高齢者に関する別の研究でも、高強度筋力トレーニングを週3日、8週間行ったら、うつの症状が50%軽減し、さらに他の研究では、筋力トレーニングがヒスパニック／ラテン系高齢者のうつ症状も改善することを示した。

ゴードン氏は、一週間に二日の筋力トレーニングを勧め、その内容は、8～10回の筋力トレーニングを12回反復して精神衛生をよくするというもので、これは、アメリカンスポーツ医学大学の推奨しているガイドラインと合致する。また、18～64歳の成人を対象とした世界保健機関(WHO)のガイドラインも、毎週少なくとも2日の筋力トレーニングを勧めている。

またヨガもよい。ボストン大学医学部精神医学・神経学のDr.クリス・ストリーター助教授らの研究チームは、アイアンガーヨガ教室にうつ病患者を参加させて、その効果を分析した。

この研究では、18歳から64歳までの年齢幅の30人を、2つのグループに分け、両方のグループに、重篤なうつ病患者で、薬を服用しない人と、反対に、3か月間に渡って同じ薬を服用していた人を入れた。

1つのグループを、1回90分のヨガ教室に週3回通わせ、さらに週4回自宅で30分ヨガを行わせた。2番目のグループは、自宅で30分、ヨガ教室に週2回90分ずつ参加した。

3か月後、ヨガを一定して継続したところ、両方のグループで症状が50%以上軽くなった。

想像がつく通り、週7日もヨガに参加したグループが最も症状が軽くなった。参加者の多くがより長い時間やるのは無理があると言ったので、最終的に研究者らは毎週2回のヨガ教室を勧めた。

残念なことに、抗うつ薬は多くの副作用を伴う。また抗うつ薬を投薬した重篤なうつ病患者の40%は完治しない。さらには臨床検査の評価の中で研究者らは、たとえ抗うつ薬を変更しても患者の34%は完治しないことを発見している。

この研究をまとめたDr.クリス・ストリーター助教授はヨガには薬による副作用を回避できるメリットがあると話した。

5. 健康でいるために最も重要なのは食生活？

食生活と運動は、健康を維持し、病気を予防するために欠かせない要素だ。しかし、この2つがそろっても、必ず健康に長生きできるとは限らない。心理学者のスーザン・ピンカーは、人気を博した自身のTEDトークで、食生活と運動は健康に大きな影響を与えるものの、寿命に最も影響する要素ではないと話した。

それでは、長寿を達成するためには一体何が必要なのか？　スーザン・ピンカーの研究では、人と密接な関わりを持ち、社会的な交流をすることが食生活よりも強力な効果を発揮すると示された。健康的な食生活と定期的な運動は大事だが、外に出て、仲の良い友人や家族との絆を深めたり、新たな人に出会ったり、自分が持つつながりを大切に思うことも必要だ。