遺跡内にて

     *バーミヤン遺跡内にて。

 (ママディオノス手前、シェルザード奥)

遺跡の岩壁に造られた階段や、廊下を伝ってタリバンの二人はサットサール(大きいほうの仏像)の方へと移動していった。一度も地上に降りずに移動して行ったところを見ると、岩壁の中には抜け穴のようなモノがたくさん掘られているらしい。

なんでもサットサールの足元にタリバンの事務所がありそちらには近づけないとの事。残念だが友達の言葉に従う事にした。

 

 

タリバンの二人が充分に離れたのを確認してから私達はシャマミ(小さいほうの仏像)の足元までやってきた。

怯えるわたしを尻目に三人は付近を大胆に歩き回る。

     

      あれ?


旅行中に頻繁に耳にした、まことしやかな噂話・・・バーミヤンの仏像の周りは地雷だらけでとても危険。しかし対戦車地雷なのである程度の重量が掛からなければ爆発せず、腹ばいになって手と足を使ってジリジリと進む匍匐前進なら体重が分散されるので大丈夫だ。・・・を普通に信じていたので、実際の現地の人たちの行動を目の当たりにして少し肩透かしを喰った気分だった。

 

 

やはり噂は噂。あてにならんもんだね。

 

 

と世の中を斜めに見るような気分を味わいつつも一応アジャーブに身振り手振りで地雷の有無を尋ねてみると、

 

 

ここには無いけど、あの辺りにはあるよ。

 

 

と、ほんの十メートルほど離れた地面を指差して言った。

 

 

おいおい。マジですか?写真を撮る為の位置決めでウロウロしてたら三秒でその辺りを横切るぞ!

 

 

一瞬、私が金縛り状態になり固まっているのも構わずに三人はシャマミの足元近くにポッカリと開いた穴に入って行き私に向かって手招きするのだった。