収まった雰囲気

先日、友達の知り合いのお坊さんにあった。彼は32歳。

話を聞くと数々の修行をされてきたようだが、今だ修行中の身です。と彼は言った。タイの寺院で修行した事もあるという。

 

 

この人なら私の悩みも解決してくれるのでは?と淡い期待を胸に質問して見た。幾つかの質問を聞き終えると彼はサラリとこう言った。

 

 

「全部捨てなさい。だいじょ~ぶ。何とか成るから。」

 

 

自信たっぷりに言い切るお坊さんを前に私は困った。私の物欲は人一倍強いし、それに社会と関わっていくことを辞める気はないし、世捨て人になる気はサラサラないし・・・。

 

 

いつか分かる日が来るはずだ。そう思ってお坊さんの言葉は胸に残しておく事にした。これまでも何度か経験したように、自分の頭でそれまで理解不能だった事がある日突然ドラマティックに変化して自分の一部となる。そんな瞬間がくるはずだと。

 

 

面白いお坊さんと別れて家に帰り、インターネットでニュ
ースを見ていると、第36回大宅壮一ノンフィクション賞
に入賞した作高木 徹著 「大仏破壊」に目が止まり,
その表紙に掲載されているバーミヤン仏像の姿にしばし見
入ってしまった。
そうなのだ。あの仏像はもうないのだ。悲しいことだけれ
ど。
 
仏像が破壊された次の日には、アフガニスタンとパキスタ
ンの国境沿いにある、パキスタン側の町ペシャワールでは
朝からリヤカーに石ころを満載した男が「バーミヤン!
バーミヤン!」と大声で叫びながら破壊されたバーミヤ
ン仏像の残骸を売りに来ていたそうだ。
 

 

石売りの男の話を聞いたとき私は日本にいてとても悔しい
思いをしていた。遺跡が破壊された事も、その残骸を手に
する事ができなかったことも。
恥ずかしいけど正直にいうと欲しかったんです。すごく。
「ちくしょう!あのとき買いそびれたんだった。」
今だ衰えぬ悔しい思い。
やはり私の物欲はとても強いようだ・・・お坊さん・・・
まだ分からないみたいです。