武蔵小杉という私の住む街から電車で3駅、ご近所感覚すぎる駅に降り立ち、
ニョキニョキと高層マンションが生えたように開発が進む街を見上げた夜、
オープンして間もない沖縄料理のお店に行こうと、すっかり沖縄好きになった友人に誘われ、
赤い花びらが揺らぐ花という意味の「あかゆら」に行った。

そこは開発が進む街とは違っていて、今でも昭和な気配が残っているその正反対な雰囲気に
すっかりタイムスリップした街外れに似つかわしくない新しいビルの2Fにあった。

沖縄という土地を模した店内は、いろんな人が歌う沖縄民謡がBGMで流れ、コースターや
スタッフのユニホームもそれっぽい。
カウンターの上には泡盛の瓶が幾つも並び、グラスは一見琉球ガラスぽく、
器もやちむんを想像させる和食器が使われていた。

あぁ、沖縄料理だなぁとメニューに並ぶ字面を眺めて、海ぶどう、島らっきょ、ふーみん、
ゴーヤ、ちゃんぷるー、ソーキ、シリシリ、石垣牛、郷土料理の極みだと思ってみたりする。




それを肴に、すっかり沖縄好きになった友人の沖縄事情を聞く。
もちろん事情は食に偏っていることは言うまでもないのだが、
飲んだ後の締めがステーキだとは知らなかった。
そのせいか沖縄ではステーキのお店が深夜まで営業しているらしい。
その料理をいただきながら、彼の地に想いを馳せ、気温や街並みや人や色や匂いを話す、
郷土料理の極意だと思うこの瞬間はいいもんだなと思わせてくれた。

その土地でその町一番の料理屋を探しとくねと、この春にも行きたいんだと笑う友人に、
まだ当分行くことのない私に変わってぜひとも行ってきて欲しいお店があると、伝えたい。
すっかりその店を忘れていたけれど、思い出せて良かった。

レラ抜きは沖縄民謡、あかゆらは花びら揺れる赤い花。
ふっとよぎるはジョン・カビラ。

つくづく遠い私の沖縄。

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