待ち人は、その背中を私に向けて反対方向へ何も疑わない足取りで歩いて行った。
人が間違う決定的瞬間を心のシャッターで押し、こうゆうとき文明の力があって良かったと思う。
"おーい。ピンクのジャケットの人が反対に行った気がする(ニヤリ)"
とメッセージを送り、しばし店の前で吸い込まれるゲストたちを見ながら待った。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』


気温は高くなくとも梅雨らしくじめついた外気に晒され、乾きを失った身体から吹き出した汗に
本人が一番面食らい、勘弁してくれ~と嘆いて冷えすぎたウーロン茶以外オーダーが進まない。
格好をつけないこの風情が、今夜の宴も楽しいと予感させる。
私はビールも泡もすっ飛ばし冷えすぎた白ワインをくださいとオーダーし、
自身のクールダウンに勤しむ人をそのままに、肴をオーダーする。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』


お通しのキャベツに手を伸ばしながら、今朝まで生きていたと言うシマアジのお刺身と、
時知らずのお刺身を醤油にその脂の波紋を広がらせながら食す。
この時期の味はやっぱりいいねと、冷えた白ワインとの相性も抜群にイイと唸ったらやっぱそこなんだと笑われた。
「いつ飲むの?今でしょ!」って言ったら「いつもでしょ!」と突っ込まれ、
運ばれた鯵フライにはソース?醤油?という談義が始まり、それぞれが好みで良いのだとわかっていても、
このカケモノ論争は尽きない。
あぁ、醤油も良いのだけれど、私はやっぱりソースが好きだとここにも記しておこう。
そうしていよいよメインの串焼きが列をなして運ばれてきた。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』

宮崎鶏の白レバー、上ハツ、せせり、ぼんぼち、ぶっかけと名のついた鶏もも、
三浦産の1本丸ごとやまゆりポーク巻、ししとう、ぎんなん。
タレに塩に、お店が魅せる食し方で串を味わったら、やっぱりイチ押しされてるハンバーグも
食さずにはいられなくなった。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』


仙台牛A5ランクで作られたハンバーグ。
歯ごたえの強い食感の肉肉しさを、おろしポン酢でさっぱりといただいた。
そしてここから一気に〆に取り掛かる。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』


親子丼と卵かけ御飯、王道を食す。
ところが、いったいどうしたことかと思うほど、ご飯が好みじゃない。
パサパサで硬いのだ。
親子丼のせっかくのふわとろ感にどんどん熱が入って、ふわとろ感が失われているようにさえ感じ、
卵かけ御飯の溶き卵ともちっとも絡まらない。
今宵のメニュー、さい先良く始まっただけにこの落差は、
反対方向へ歩いて行って間違いに気づいた時に似ていると苦笑いで〆ることとなった。

【「和」空間 善】
住所 〒231-0012 神奈川県横浜市中区相生町4-65
アクセス みなとみらい線馬車道駅 徒歩4分
JR根岸線関内駅 徒歩5分
横浜市営地下鉄関内駅 徒歩3分
TEL/050-5797-7237
営業時間 ランチ 月~土 11:45~14:00(L.O.13:30)
ディナー 月~日 16:00~24:00(L.O.23:00)(ドリンクL.O.23:30)
定休日 年末年始