恵比寿にはイタリアンが140軒を越えるという。
かつての私がお気に入りだった店も今はもうない事態も起こったりするけれど、
だからと言って原宿のように小刻みに街が変わるというのとは違う、
緩やかな時間が流れているような恵比寿はいつも間口を開いてノックもせずに門をくぐらせてくれる。
そんな恵比寿の少し奥へ行ってきた。
ここは『恵比寿es』。
かつての面影を残しつつ今はドレスダウンをした肩の凝らないイタリアンだ。
梅雨入り前の季節、テラスで１分程度で焼き上がるピッツァを真っ赤な爪で頬張りたい店でもある。
その夜はこの程よい色気の漂う店の色気を脇に追いやって、
この店を率いる帯広出身のサムライ志賀社長とテーブルに乗るメニューを目の前に、
野菜の話、お肉の話、水の話、危惧する日本の環境の話など、
お互いのフィールドでなにをしていて何がができるのかと、
尽きない話に花を咲かせ、熱く濃く、
この若き北のサムライの素晴らしい面白さに触れさせていただいた時間を過ごした。
ズラッとトレイに乗せられた小さなポーションの前菜。
どの前菜も特別なレシピではないのに、この見た目に明らかなサプライズ感は感激と共に
その夜が特別で豊かで意味のあるものへと変えてくれる威力を持つ。
「ちょっとひとくち食べる？って、ちょっと、ちょっとって女子のテーブルが賑やかなのを見て、
ちょっとずつ食べるのが好きなんだと気づいたんですよ。」
作った我が子を愛おしむように並んだ前菜を見つめるビームを遮って私はむんずと手を伸ばし、
わんこそばのように口に運ぶ。
だけどまんまとこのサプライズが嬉しくて、ちょっとずつって良いのよねと、改めて思う。
だから女子代表のつもりになってでもう一つ気づいて欲しくなった。
「ちょっとずつってとてもおもてなしされている気分になるのですよ。」
メインは素材を美佐夫シェフ自らレシピ付きでご紹介くださり、ゲストが自ら選ぶ。
この日はオマール海老、時知らず、A4黒毛和牛、ソルトブッシュラム、ですがと続き、
蝦夷鹿が入っていますのでそちらを是非召し上がってくださいと、 志賀社長と美佐夫シェフが口を揃え
ニコニコとしていた。
そして美佐夫シェフは、私が凝視するオマール海老に気付き、
「オマールはタリアテッレにいたしましょうね。」と諭すように言い、変化球で私を満足足らしめたにだった。
やはり、程よい色気のある店だとひとりごちて、さらにヒートアップする語らいを
小休止させるように、ピッツァが運ばれてきた。
ロッソとビアンコ、生地の中にしっかり入った塩が効いていて、ピッツァを食す喜びが全身を貫く。
当然「うっ。」となったまま、黙れともうるさいとも言われていないのに私は押し黙り、
焼き上がる１分程度の時間に負けない早さで食すつもりで対峙する。
ずっと星がつくリストランテで修行をしていた美佐夫シェフがナポリに降り立った時、
その抗えなナポリピッツァの魅力になだれ込んで修行を積んだのだという。
修行先はナポリでは知らない人はいないと言う老舗の『プレジデンテ』、
そこで日本人初の暖簾分けを許されて帰国をなさった彼が作る常温で発行させた大切に扱われた生地は、私たちに美しい味となってお礼をしてくれるのだった。
そして現れるは、オマール海老とトマトクリームタリアテッレと続き、メインの蝦夷鹿を頬張った。
甚だ簡単ではございますが～と冒頭言うしかない、甘くプリッとしたオマール海老が半身乗った
タリアテッレ。
ネットリとしつこいくらい芳醇なオマールの香りに包まれたタリアテッレが口の中でほどけ弾け飲み込まれて行った。
蝦夷鹿、ピンクの肉色に毒々しいまでのブルーベリーソースがギラつく。
ジビエ特有の食感、森の匂い、土の香り、そのすべてに命の息吹を感じ、残酷なまでに
わが身に取り込んでいった。
ほうっと惚けたようになるのは、正しく清らかなそれらを細胞の一つ一つが味わっているからなのだと思う。
無意識、潜在下にある身体が求める絶対食感のような琴線に触れたのだ。
そして、デザートで私は意識ある人に戻してもらう。
ご馳走様とフォークを置けば、北のサムライと目が合い、やはり色気の漂う店なのだと思った。
【恵比寿 es （エビス エス）】
TEL・予約 03-6277-1612
東京都渋谷区恵比寿1-24-11 ＦＬＥＧ恵比寿 １F・2F
JR山手線 恵比寿駅 東口から 徒歩5分（西口から 徒歩７分）
営業時間
【Lunch】
水～金 １１：３０～１５：００／１４：００（L.O.)
土日祝 １２：００～１５：３０／１４：３０（L.O.)
【Dinner】
火～日 １８：００～２３：３０／２２：３０（L.O.)
ランチ営業、夜10時以降入店可、日曜営業
定休日／月曜、火曜ランチタイム
かつての私がお気に入りだった店も今はもうない事態も起こったりするけれど、
だからと言って原宿のように小刻みに街が変わるというのとは違う、
緩やかな時間が流れているような恵比寿はいつも間口を開いてノックもせずに門をくぐらせてくれる。
そんな恵比寿の少し奥へ行ってきた。
ここは『恵比寿es』。
かつての面影を残しつつ今はドレスダウンをした肩の凝らないイタリアンだ。
梅雨入り前の季節、テラスで１分程度で焼き上がるピッツァを真っ赤な爪で頬張りたい店でもある。
その夜はこの程よい色気の漂う店の色気を脇に追いやって、
この店を率いる帯広出身のサムライ志賀社長とテーブルに乗るメニューを目の前に、
野菜の話、お肉の話、水の話、危惧する日本の環境の話など、
お互いのフィールドでなにをしていて何がができるのかと、
尽きない話に花を咲かせ、熱く濃く、
この若き北のサムライの素晴らしい面白さに触れさせていただいた時間を過ごした。
ズラッとトレイに乗せられた小さなポーションの前菜。
どの前菜も特別なレシピではないのに、この見た目に明らかなサプライズ感は感激と共に
その夜が特別で豊かで意味のあるものへと変えてくれる威力を持つ。
「ちょっとひとくち食べる？って、ちょっと、ちょっとって女子のテーブルが賑やかなのを見て、
ちょっとずつ食べるのが好きなんだと気づいたんですよ。」
作った我が子を愛おしむように並んだ前菜を見つめるビームを遮って私はむんずと手を伸ばし、
わんこそばのように口に運ぶ。
だけどまんまとこのサプライズが嬉しくて、ちょっとずつって良いのよねと、改めて思う。
だから女子代表のつもりになってでもう一つ気づいて欲しくなった。
「ちょっとずつってとてもおもてなしされている気分になるのですよ。」
メインは素材を美佐夫シェフ自らレシピ付きでご紹介くださり、ゲストが自ら選ぶ。
この日はオマール海老、時知らず、A4黒毛和牛、ソルトブッシュラム、ですがと続き、
蝦夷鹿が入っていますのでそちらを是非召し上がってくださいと、 志賀社長と美佐夫シェフが口を揃え
ニコニコとしていた。
そして美佐夫シェフは、私が凝視するオマール海老に気付き、
「オマールはタリアテッレにいたしましょうね。」と諭すように言い、変化球で私を満足足らしめたにだった。
やはり、程よい色気のある店だとひとりごちて、さらにヒートアップする語らいを
小休止させるように、ピッツァが運ばれてきた。
ロッソとビアンコ、生地の中にしっかり入った塩が効いていて、ピッツァを食す喜びが全身を貫く。
当然「うっ。」となったまま、黙れともうるさいとも言われていないのに私は押し黙り、
焼き上がる１分程度の時間に負けない早さで食すつもりで対峙する。
ずっと星がつくリストランテで修行をしていた美佐夫シェフがナポリに降り立った時、
その抗えなナポリピッツァの魅力になだれ込んで修行を積んだのだという。
修行先はナポリでは知らない人はいないと言う老舗の『プレジデンテ』、
そこで日本人初の暖簾分けを許されて帰国をなさった彼が作る常温で発行させた大切に扱われた生地は、私たちに美しい味となってお礼をしてくれるのだった。
そして現れるは、オマール海老とトマトクリームタリアテッレと続き、メインの蝦夷鹿を頬張った。
甚だ簡単ではございますが～と冒頭言うしかない、甘くプリッとしたオマール海老が半身乗った
タリアテッレ。
ネットリとしつこいくらい芳醇なオマールの香りに包まれたタリアテッレが口の中でほどけ弾け飲み込まれて行った。
蝦夷鹿、ピンクの肉色に毒々しいまでのブルーベリーソースがギラつく。
ジビエ特有の食感、森の匂い、土の香り、そのすべてに命の息吹を感じ、残酷なまでに
わが身に取り込んでいった。
ほうっと惚けたようになるのは、正しく清らかなそれらを細胞の一つ一つが味わっているからなのだと思う。
無意識、潜在下にある身体が求める絶対食感のような琴線に触れたのだ。
そして、デザートで私は意識ある人に戻してもらう。
ご馳走様とフォークを置けば、北のサムライと目が合い、やはり色気の漂う店なのだと思った。
【恵比寿 es （エビス エス）】
TEL・予約 03-6277-1612
東京都渋谷区恵比寿1-24-11 ＦＬＥＧ恵比寿 １F・2F
JR山手線 恵比寿駅 東口から 徒歩5分（西口から 徒歩７分）
営業時間
【Lunch】
水～金 １１：３０～１５：００／１４：００（L.O.)
土日祝 １２：００～１５：３０／１４：３０（L.O.)
【Dinner】
火～日 １８：００～２３：３０／２２：３０（L.O.)
ランチ営業、夜10時以降入店可、日曜営業
定休日／月曜、火曜ランチタイム