どうしよう・・・水がない、水がない、水がないっ。
ノドがヒリヒリと乾き、私の唇がみるみるうちに干涸びてひび割れていく。
白目には、毛細血管が無数に走り、髪の毛は静電気で逆立っている。
ふと手を見れば、爪が常軌を逸したようにうねるように伸び、根本からぽろっと取れていく。
たった1滴の水を私の舌に乗せて欲しい、そう訴えている。
それなのに、どのペットボトルも凹み、ゆがみ、蓋は取れ、ラベルがなびき、空っぽでカラカラと無情な音をたてて床に、路に転がっている。
どうして?
なぜ?
昨日まで、私はあんなに潤っていたのに。
力つきて、アスファルトの上に踞る私を、私が俯瞰している。

私は異常だ。

寝る前に飲まなかったコップ一杯の一万年の雫が、後悔となって夢の中で映像になって訴える。
ベッドから這い出て、一万年の雫を取る自分の手に爪があるのか、鏡に映る目は白いままか、唇はひび割れていないか、恐る恐る見る。

$エッセイスト料理家ROMAKOの『好きな人と好きなモノを好きな時に好きなだけ食べる』-一万年の雫

こんな状態を依存症というのだろう。
でも、知ってしまった水の威力はあまりにも大きくて、私を司るほどになっている。
キッチンに一万年の雫があることで、私はとてつもない安心感をもって過ごす毎日にとても満足している。

このに出会えたことで、作る料理の味へ、私の肌へと浸透している事実はゆるがない。
今日は恐ろしい夢を見ないようにちゃんと飲もう。