天国の少し手前に

『虹の橋』と呼ばれるところがあります。

 

この地上にいる誰かと愛しあっていた動物は

死ぬとそこへ行くのです。

 

 

そこには草地や丘があり

食べ物も水もたっぷりあって

 

病気だった子も年老いていた子も

傷ついたり不自由になっていた子も

元気なからだを取り戻し、走り回って遊ぶのです。

 

 

みんな、幸せで満ち足りているけれど

ひとつだけ不満があります。

 

それは、

自分にとっての特別な誰かさんが

ここにいない寂しさです。

 

 

みんなが一緒に遊んでいるとき

その中の1匹が何かに気付きます。

 

その視線の先に向かって

飛ぶように速く草の上を駆け出します。

 

 

あなたを見つけたのです!

 

 

そして

あなたたちは再会の喜びに固く抱きあい

一緒に『虹の橋』を渡っていくのです。

 

 

 

こんな風に

幸せと愛の奇跡に満ちている『虹の橋』の手前には

 

『雨降り地区』と呼ばれる場所があります。

 

 

そこではいつも冷たい雨が降り

動物達は寒さに震えています。

 

 

ここに降る雨は

残して来てしまった特別な誰かさんの流す涙です。

 

 

大抵の子は

少しの寂しさと物足りなさを感じながらも

半年もすれば仲間と遊び、楽しく暮らす事ができます。

 

 

でも

1年経っても2年経っても

『雨降り地区』から出ない子もいます。

 

 

地上に残して来てしまった特別な誰かさんが

ずっと悲しんでいるので

みんなと楽しく遊ぶ気になれないのです。

 

地上に残して来た誰かさんと同じ悲しみに

凍えているのです。

 

 

 

死は全てを奪い去ってしまうものではありません。

 

同じ時を過ごし、愛し合った記憶は

永遠に消える事はないのです。

 

 

 

地上にいる特別な誰かさん達の

幸せと愛に満ちた思い出が

『虹の橋』を創りあげているのです。

 

 

 

だから

どうか別れの悲しみだけに囚われないでください。

 

 

 

彼らは

 

命の儚さと愛しさを

 

束の間の温もりに感じる慈悲の心の尊さを

 

その短い生涯の全てを以って教えてくれるのです。

 

 

 

癒える事のない悲しみだけを残しに来るのではありません。

 

 

 

思い出してください。

 

動物達が残して行ってくれた

形にも、言葉にもできない、様々な宝物を。

 

 

 

それでも悲しくなったら、目を閉じてみてください。

 

「虹の橋」にいる、彼らの姿が見えるはずです。

 

 

信じる心のその中に

必ずその場所はあるのですから。