ガラガラの総武線の車内で
その爺様は、わざわざ
僕のとなりに座ってきた。
僕はかるく挨拶をして、
できるだけ、
目を合わせないように横を向いたが
爺様はかまわず話しかけてきた。
「たいていの人間は、
答えを教えて欲しいと
言うだろ・・・
でも、答えなんてものは
誰も知らないんだよ」
そうかもねー。
しまった!
つい返事してしまった・・・
爺様だって知らないでしょ?
「わしは知っとるよ」
爺様は折り畳んだ競馬新聞に
目をやりながらきっぱりと言った。
じゃあ、教えてあげれば
いいじゃないですか。
「教えているさ」
えっ・・・
「教えているよ。でもな、
たいていの人間は、
自分に都合のよくない答えには
耳をかさないようにしているし、
そもそも聞く気もないんじゃよ・・・」
ふ~ん。そういうものかな・・・
「そういうもんじゃな」
あのさ、そういう爺様は
いったい何者なの?
「わしか、わしは神さまじゃ」
ハハハ・・・よくいうよ。
爺様、僕はこの駅で降りるから。
じゃあね、あんまりバカなこと
言っちゃあダメだよ。
そう言って振り返ると
爺様はもうそこにいなかった。