ひろしの「1日1新」 -16ページ目

ひろしの「1日1新」

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ガラガラの総武線の車内で
その爺様は、わざわざ
僕のとなりに座ってきた。

僕はかるく挨拶をして、
できるだけ、
目を合わせないように横を向いたが
爺様はかまわず話しかけてきた。

「たいていの人間は、
 答えを教えて欲しいと
 言うだろ・・・
 でも、答えなんてものは
 誰も知らないんだよ」

そうかもねー。
しまった!
つい返事してしまった・・・
爺様だって知らないでしょ?

「わしは知っとるよ」
 爺様は折り畳んだ競馬新聞に
 目をやりながらきっぱりと言った。

じゃあ、教えてあげれば
いいじゃないですか。

「教えているさ」

えっ・・・

「教えているよ。でもな、
 たいていの人間は、
 自分に都合のよくない答えには
 耳をかさないようにしているし、
 そもそも聞く気もないんじゃよ・・・」

ふ~ん。そういうものかな・・・

「そういうもんじゃな」

あのさ、そういう爺様は
いったい何者なの?

「わしか、わしは神さまじゃ」

ハハハ・・・よくいうよ。
爺様、僕はこの駅で降りるから。
じゃあね、あんまりバカなこと
言っちゃあダメだよ。

そう言って振り返ると
爺様はもうそこにいなかった。