同僚が合気道を始めたらしい。
まだ体験で1度行っただけだから、続けるかどうか判らないらしいが。
確かに、日本の武道で何が一番カッコイイかと考えたら、何んとなく合気道だ。
武道なのに、戦いによって優劣を決めないスタンスとか。
なんて事を考えていたら、ある出来事を思い出した。
それはまだ学生の頃。
季節は覚えていないが、時間は確か夜の10時を過ぎた位だと記憶している。
場所は、小田急線海老名駅。
ホームに上がると、目の前に30半ばくらいのサラリーマンがいた。
酔っているのだろう、上半身が左右に揺れ、慌てて下半身がそれに付いていくような感じで、ホームを漂っている。
時折、片方の足を高く上げるような動きもする。
危ない。近寄ってはいけない。
そんな警戒心を抱きながらも、ついつい奇異の目で動きを追っていた。
ほどなくして、新宿行きの電車がホームに入って来た。
混んでいるという程ではないが、シートは2人分しか空いていない。
しかも並びだ。
ちょっと嫌な予感もしたのだが、疲れていたのでそこに腰を下ろす。
案の定、あのサラリーマンが隣に。
もたれかかってきたら、どう対応しようかと考えたが、存外にしっかりと座っている。
むしろシャンとしていると言っても過言ではない。
こうも瞬間的に酔いが醒めるものかね?
そう思っていたら、鞄から本を取り出して読書まで始めたではないか。
とても興味が湧いてきたが、あれ程の酩酊状態にあった男、絡まれるのも嫌なので横目でチラ見。
本のタイトルだけがかろうじて読みとれた。
「酔拳入門」
信じるか信じないかは、あなた次第です。