みなさん、こんばんは。社会保険労務士の樋口です。

今日、非正規労働者にとって厳しい2件の判決が、最高裁判所で言い渡されました。

1件目は、大阪医科薬科大で約2年間フルタイムで勤務した元アルバイトの女性が、正職員に支給されるボーナスが支給されないのは、「不合理な格差だ」として提訴していました。

最高裁小法廷は、大阪医科薬科大のボーナスは「正職員の職務を遂行し得る人材確保の目的があった」とし、正職員とアルバイトの業務内容に共通する部分はあるとしたうえで、「正職員は人事異動を命じられる可能性があった」などと一定の相違を指摘し、また、女性の業務は「相当に軽易だった」とも述べ、正職員との待遇の格差が「不合理とまで評価できるものではない」と判断、請求を退けました。

2件目は、東京メトロ子会社メトロコマースの駅売店で働いた元契約社員の女性2人が、正社員には支給される退職金が支給されないのは、「不合理な格差だ」として提訴していました。

小法廷は、売店業務に従事した正社員と女性2人を比較し、業務内容はおおむね共通するものの、正社員は配置転換があるなど一定の相違があるとし、「不支給は不合理であるとまでは評価できない」と、これも請求を棄却しました。 

小法廷は、今回のケースではボーナス、退職金ともに「不支給は不合理とまでは言えない」と述べる一方、「不合理と認められる場合はある」とし、別のケースでは判断が異なることがあり得ることも強調しました。

15日にも、日本郵便3事件の最高裁判決があります。今日と15日の計5事件は、「同一労働同一賃金」を定めた働き方改革関連法が施行されて以降、初の最高裁判断となります。平成30年6月の最高裁判決(長澤運輸事件、ハマキョウレックス事件)内容は、その後厚生労働省が告示した「同一労働同一賃金ガイドライン」に色濃く反映されています。企業などの給与制度の在り方に一定の影響を与えそうです。
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