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「古すも寿 お気軽にどうぞ 洋服お直し致します」というカンバンであります。
 やはり気になるのは「古すも寿」という,おそらくはお店の名前というか屋号というか,なんでした。

 まぁ「コスモス」と読むのだろうなぁと,思ったわけであります。
 そしてカンバン主としてはその「コスモス」というのは「宇宙」ではなくて「花の名前」をイメージしているのだろうなぁ,好きな花なんだろうなぁ,セイントセイヤとかイデオンとかが好きなわけでもないんだろうなぁ,などと思ったりしたわけでした。

 それにしてもちょっと表記がハンパであるなぁ,とも思ったんでした。どうせなら全部カタカナひらがなでもいいだろうし,全部漢字にしてもいいのにと。
 しかし「古寿毛寿」とかだと「こじゅもーじゅ」なんて読まれてしまいそうだし,暴走する人たちが「夜露死苦!」とか言いながら集まってくるかもしれないから,漢字のみにはあえてしなかったのかな,などとも思ったんでした。

 ひらがなのみにしないのも,洋服を直したりするということで「古いのもまぁいいもんですよ」というくらいの意味合いで「古」「寿」を使いたかったのかなと思ったんでした。

 というようなくらいのことを,歩いているときには考えていたわけでありますけれども,ネタを書こうかということであらためて写真を見ていたら,これは「『古す』も『寿』」なのかなと思えてきたんでした。

「古す(ふるす)」というのは通常「使い古す」「着古す」「言い古された」という具合に使われて,単独ではあんまり使われませんけれども,それ自体も「使って古くする」というような意味合いの独立した単語なんでした。

 だから,「古す」も「寿」であるというのは,
「物は,すぐに使い捨てるんではなくて,直していけば擦り切れるまで使うことができるのですよ。永く使い続けること。それは,物にとっても使う人にとってもおめでたいことなのですよ」
という意味合いのことを言っているのかもしれないんでした。

 読み方自体は「コスモス」でいいんでしょうけれども,文字として「古すも寿」と当てているというのは,なかなか考えられているようなんでした。

 一応「古すも寿」という特別な言葉があるのかもしれないと思ってgoogleで検索してみたのだけれども,そのものズバリは出てこなかったんでした。
 出てこなかったのだけれども,下の方に「英語のページの検索結果を日本語に翻訳して見る」というのが出ていて,「古すも寿(Su also wear out)」と表示されていたんでした。
「wear out」というのが「使い古す」みたいな意味で「also」は「~も」でありますね。だから「also wear out」で「古すも」だと思うのだけれども,「寿」が「Su」というのはもうちょっとがんばってみてもらいたかったところであります。

 お。なんかちょっと久々にアカデミックな香りのする物件であるな。香りだけだけれども。

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 オマケ。
 こちらはどうやら松雲書道会さんのようでありますけれども,一番大事と思われる「書」の字のみが後からハメこんだように他から浮いた感じになっているのがちょっと気になったんでした。

 これはひょっとすると,もともとは「書道」の会ではなかったんでありましょうか。
 大きな道路大好きの人たちが集まる「国道会」とか。
 トンネル大好きの人たちが集まる「隧道会」とか。
 寺社へ行くまでだけを楽しむ人たちが集まる「参道会」とか。
 名前が弘道さんの人たちだけが集まる「弘道会」とか。
 薬臭いお水大好きな人たちが集まる「水道会」とか。

 いやもっと簡単に考えれば,「剣道会」だったのかもしれないでありますね。
 ある日,「書道会」が「剣道会」に道場破りを仕掛けてきたのかもしれない。剣道が書道に負けるわけがないと誰もが思っていたのだけれども,いざ戦ったら書道が剣道に勝ってカンバンをかけかえてしまったのかもしれないんでした。

 ペンは剣よりも強かったんでありますね。
 …くだらなくて申し訳ない。ああ,せっかく前半アカデミックだったのに。

「古すも寿」は新潟市秋葉区・新津本町2あたり。
「書道会」は新潟市秋葉区・新津本町1あたり。