イメージ 1

 ある年齢あたりより上になると,ひらがなの使い方なんかが下の世代とちょっと違ってきたりするようであります。新かなづかいというのがどのあたりから導入されたかという関係だったりもするんでしょうけれども。

 さすがに最近では素で「てふてふ」とか書く人はいなくなってきているような気がしますけれども,微妙なところで違っていたりすることはあるようなんでした。
「王様」は「おおさま」であったり「塩」は「しよ」であったり「これを」は「これお」であったり。単に年齢のためだけということでもないでしょうけれども,その傾向はあるようであります。

 世代によるものでなくても,たまに迷ったりするのが「ず」と「づ」,「じ」と「ぢ」の使い分けなんかでありますね。
 基本的には濁る前の元の単語が「つ」「ち」である場合は「づ」「ぢ」になると思われますけれども,それによらない場合もあったりして,あれ,どうだったかと思ったりするわけでした。

「地面」とか「地獄」というのは「地」だから「ぢめん」「ぢごく」じゃないのか,とか。これは「地」というのは元々が「じ」であるから「じめん」でいいようでありますが。

「くんずほぐれつ」は元が「組みつ解れつ」なら「くんづほぐれつ」なんじゃないか,とか。これはよくわからない。どうでもいいのか?
 まぁ,一般的な人生において「くんずほぐれつ」なんて書かないといけないシチュエーションもあんまり無いような気もしますけれども。

 という,やたら長い前置きの末に最初の物件であります。
「此の場所にタバコ 紙くづ空缶空ビン 等のポイ捨ては やめて下さい」
とのことなんでした。

 いや,まぁ,単にちょっと「紙くづ」というのが気になったというそれだけなんでありますけれども。
 ただ,やはりこれが「街をきれいに!」なんていう既製のカンバンであったとしたら,まったく気にもとまらないんでありますね。でも手書きで「此の」とか「紙くづ」とか書かれていることによって,なんとなく書き手の様子が思い浮かんでくるんでした。

 それで「ああ。この人が悲しむだろうから捨てないようにしよう」と思ったりするような気がするわけでした。
 まぁ,そんなことを思うのはもともとポイ捨てはしない人種であって,ポイ捨てをするようなヤカラは「ふん。ジジイが書いてやがるな。なら怖くネェや。捨てようぜぇ」などと思ったりするのかもしれませんが。
 いやそれ以前にハリガミなんか見ないか。

イメージ 2

 こちらはゴミ集積所に貼り出されたカンバンでありますけれども
「※守ロウ分別ゴミ出シマナー!! キレイナゴミステイション,マヅ自分カラ」
ということなんでした。

 これはもうただでさえ目立つまっ黄色のカンバンにカタカナで書かれていて,非常に気を引くんでした。
 カタカナで書かれているというのは,ちょっと戦前戦中あたりを思い起こすところでありますね。違反をすると非国民あつかいされそうであります。いや私はかなり戦後の生まれではありますが。なんとなくそう感じてしまう。

 最近の子どもなんかはそういったイメージにはならないかもしれないでありますね。むしろ「ゴミ出シマナー!!」のあたりは「オマエモナー!」みたいで2ちゃんねるっぽく見えるのかもしれないんでした。

「!!」の向きは右下がりでありますね。今までにも何件かこの形のものを物件にしていますけれども,本来はこういうものなんでありましょうか。

 そしてやはり「マヅ自分カラ」であります。
 これを見ると「年配の人が書いたのかな」と思うところでありますけれども,実はこれは「まづ」ではなく「まじ」なのかもしれないでありますね。
「ゴミ出しマナーっすけどぉ,こいつはマジ自分から守らないといけないんっすYO!」
というヤングマンが書いたのかもしれないんでした。しれなくないか。

イメージ 3

 オマケ。こちらには「づ」は含まれませんけれども,おそらくは
「ゴミは必ず 分別して 出して 下さい」
と書いてあると思われるんでした。

 それにしてもこの「分」の字はどうなんでありましょうか。こういう字があるのかどうか。
 少なくともパソコンでは出ないようでありますけれども,ひょっとするとスゴい文字であって,見る人が見ると「おお。これは見た人には幸せが訪れるという幻の文字ではないか。ああありがたやありがたや」となったりするんでありましょうか。

「別」もちょっとアヤしいでありますね。「列」みたいであります。
 まぁ,カンバンというのは意味がわかりさえすればいいようなものであって,このカンバンは十分に役割を果たしているような気はしますけれども。

 しかしあるいはこれはゲージツをやっているんでありましょうか。
 書かれている板はトタン板か何かを利用しているのか,縦線が便箋のようであり,文字もそれに沿って書かれているのがちょっと美しく見えるでありますね。
 それで
「私のゲージツからすると,ここに書く『分』はこの形でなければならないッ!」
ということで,こんな形の字になったのかもしれないんでした。しれなくないか。

「くづ」は新潟市中央区・西堀前通5あたり。
「マヅ」は新潟市中央区・鳥屋野3あたり。
「分別」は新潟市東区・中木戸あたり。