何回かに分けて紹介してきましたが、講演の締めくくりの言葉です。

以下講演内容
・・・(略) それから刃物を買う時は、絶対に安いのは駄目です。高いものを買う。と言うのは、嫁を貰わば親兄弟親戚親類を選べ、刃物を買う時には造った人を変え、継ぎと刃物は良いものを、一生ものだから。今の様に3ヶ月半、4ヶ月かかって妻と別れてはだめだから、一回もらった妻だったら死ぬまで一生かだるように。そうなんですよ、私の本家でも「お前は海軍に行って死んで、帰ってこないんだから」と言って、祖父さまが「鉞(まさかり)と大きな出刃包丁を造って行け」と言った。それを未だに使っています。・・(略)・・

ここにも学べきことがありますね。
私も祖父には同じことを言われていた事を思い出しました。
職人でしたので、物を大事にすることはあたり前ですが、出来るだけ良いものを大事に使え・・・・と良く言っていました。良いものとは、良い職人が作ったものの意味なんですね。
粗悪品ではだめと言うことです。
一概には言えませんが、良いものは大事に使えば一生もの・・・まさに今のエコロジーの考え方です。

そして嫁をもらわば・・・これはどうでしょう。
これも難しい問題ですが、「一回もらった・・・・」このクダリは、私も同感ですね。

奥様にお話を伺うと、源光師は職人の鏡みたいな人だったと・・・・。とても自分にも厳しく、同様に家族にも厳しかったと言っていました。

しかし、源光師の心の底には、この精神があったからこそ、家族のために頑張ったのだと思います。色々話を聞いていますと、奥さんも大変な苦労をしていますが、そんな苦労は今となっては良い想いでだと笑っていました。
我々の世代までは、まだ学校教育でも厳しさを教えられましたが、最近は先生がちょっと拳骨しただけで体罰と言われる有様です。結局、自分に対する甘えは、いくら口で説明しても中々直らないんですよね。今思えば先生の鉄拳もありがたかったと思います。

鍛冶屋を巡って職人の話を聞くことはとても楽しいですが、自分が鍛冶屋になれるかと言われれば、このような厳しい世界には絶えられないと思いますね。
もう手仕事としての鍛冶屋は、消えて行ってしまうんでしょう・・・・。