6月9日


分娩台へ連れてこられてから 私はやけに冷静だった。

陣痛が来ていても、助産師さんの言ってること、している事、

母や夫の態度など、すごく冷静に観察していた。

いよいよ、産める!!その想い、嬉しさの方が強かった。


ドクターが呼ばれて心拍が落ちた時のデータを確認し、

もうしばらくNSTを付けて赤ちゃんを観察する、と言って消えていった。

助産師さんは何かあった際の点滴の準備と子宮口をチェック。

分娩台の上でいわゆる分娩のポーズで

陣痛が何回か襲ってきた。

旦那さんに腰を押してもらうこともできず

とにかく腰やオシリが痛かったのでこのポーズが辛かった。



そして、何分か過ぎた頃、バタバタとまたドクターがやってきた。

助産師さんとドクターが私の子宮口を見て何やら話している・・・

そう思っていたら、 気がついたら、

バシャ~~と生暖かい何かをかけられた(気がした)。

初めはお湯をかけられたのかと思ったけれど

よ~く考えてみて、人工的に破水させられたのだと理解した。

どうも羊水がにごっていたようだった。

何故にごっているかというと、

赤ちゃんが羊水のなかでウンチをしてしまったから・・・

これは赤ちゃんがストレスを感じ始めていたサインらしい。


破水させたことによって、陣痛が一気に強まった気がした。

イキみたい感じ の陣痛の波が どんどん来た。

「これで陣痛を強めて、それでも足りなかったら促進剤入れましょう」

そういって、またもドクターは去っていった。

なんだよ~もっと早く破水なり促進剤なりやってよ・・って思った。

ここからは助産師Sさんと私の戦い・・。

何度もくる陣痛の波にあわせて、Sさんが赤ちゃんの頭を触るのがわかった。

私が勉強した中では「いきんじゃ駄目」ってみんな言われて

そのイキミのがしが辛かった~ウンチでそうだった~って聞いていたけど

私の場合は特にウンチ出そうな感じまで行かず・・・

もうこの時点で「いきんでいいよ!!」って言われていた。

だから正直混乱してしまった。。

赤ちゃんがまだ降りてないのにイキんでいい?ってどうゆうこと?


子宮口は10センチにまで一気に開いていたみたいだけど、

赤ちゃんを産み出すほどの強いイキみがなかなか来ない。

そこで促進剤を少しだけ入れることになった。

そこから イキむという事がやっとわかってきた。

1回の陣痛の波で3回ほどいきめる。

「そうそう上手上手!!」褒められながら何度も繰り返した。

赤ちゃんがぐりぐりと少しずつ下に押されているのがわかった。

必死すぎて痛みはあまり感じていなかったかもしれない。


しばらくして、

ドクター3人、助産師2人が揃った。

いよいよらしい。


「血圧は?!」

「正常です!!」

「陣痛の波が来たら息をもらさないで んっ!!だよ!!!!」

「んんんんーーーーーー!!!!!!!!!!!」

「ボートをこぐように上体を起して力を入れて!!!!!」

「んんんんんんーーーーー足がつるぅーーーーーーー!!!」

「波が消えたら 深呼吸~ 休んでいいんだよ 次来たら教えて」

「来た・・・・  んっっっーーーー!!」

本気で脳の血管切れる、心臓とまる って思った・・

それくらい、イキムって息を止めて力を入れる。


繰り返すこと 数回・・・

なかなか最後に力が入らない。

「吸引しますよ、会陰切開もしますね!!」

赤ちゃんが無事なら 正直 どうでもよかった。

迷う間もなく、会陰はサックリ切られた。

その後 数回イキんだ後、

赤ちゃんの頭に何かハメたのが見えた、吸引の機械だ。

赤ちゃんの頭がもうすぐそこまで出てる!!

次のイキミで絶対出す!!!って力が沸いてきた。

最後は分娩台の足置きではなく

ドクターと助産師さんの手に足を乗せて

ボートをこぐ様に 渾身の力でイキんだ。


「んんっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

長い長い イキミのあと・・・

吸引の機械をつけて 1回で・・・

メリメリッ と 赤ちゃんの頭が出たのが分かった。

「痛いっ!!!!」 って 思わず叫んだと思う。

最後は 軽くイキんで

赤ちゃんが ヌルっ て出てきたのが見えた。



1時19分  


本陣痛が始まってから 約21時間

分娩台に乗ってから 約1時間



元気な声が 響きわたった。



泣いてる。

ちゃんと 泣いてる。


よかった、 よかった

よかったーーーーーーーーーー



私は ただ ひたすら

よかったーーーー

って 言いながら 

泣きじゃくっていた。


立ち会っていた旦那さんが

ニコニコしながら

私の頭を ぽんぽんと 

優しく撫でてくれたのを

なんとなく 覚えている。



お、 終わった~~!!!(って 心の中で叫んでいた)