そう言って,やっちゃんは1本にライターをつけ,残りは容器ごと握りつぶしてゴミ箱に捨てた。
(やっちゃん,デジャブだよ。前に何回同じことした?)
心に思ったことを口には出さず,やっちゃんを見る。
「佐藤,分かるか!日本はクソや。そんな国のクラブに行ってる奴等はクソや!だから俺らもクソや。分かるか」
「クソって・・・。」
「でも,自分がクソってことを認識してる俺ら奴等とは違うねん!分かるか!」
「なんとなく分かるかなぁ。(奴等って?)」
「いや,お前は分かってない!」
やっちゃんは全力でやっちゃんだった。東京に行ってしまってからも彼は何も変わらず,残念でいてくれた。
俺はやっちゃんと六本木のクラブに行った。
一言で言えば楽しかった。やっちゃんは凄かった。
深夜3時頃に年齢層の高いクラブみたいな所に行ったのだが,やっちゃんはそこでヘタしたら自分のお母さんと変わらない人を口説いてた。
1件目のクラブでのアルコールが抜けなく疲れていた俺は,冷静な思考をめぐらせる。
「酔うって怖い!」
ふた周りは上であろうおばさんに自分の腰をガンガンつけて笑顔で踊る彼を,誰が止めることが出来ようか。
やっちゃんが正解で,乗り切れていない俺がダメなのか。答えはすぐ分かった。
その店を出てからのやっちゃんは動く犯罪だった。道ですれ違う女全員に,
「飲もうや。カラオケ行こうや。5分だけやから」
俺は完全に酔いがさめている。でもやっちゃんを止めることなどできない。とりあえずこんな顔したやっちゃんは初めてだ。(いや,クラブに行ったら基本こんなアホな顔になってる)
「おい,空気読みなよ」
となりのサラリーマンが明らかに女に絡むやっちゃんに苦言を呈している。
「ほんまや。空気よんで遊んでや。」
やっちゃん・・・。やっちゃん・・・。
君ってやつは・・・。
その後のクラブでナンパした子にも逃げられ,追いかけていく東京の子に,
「クラブでナンパしてんじゃねぇ。殺すぞ!」
と言われる始末。
「こんなもんや。クソばっかりや」
そう言いながら,彼は電車の中で揺れれていた。
そして,彼の家に帰りひと段落してから,冒頭の台詞がはじまる。もちろん彼はヘベレケ状態。
その後,彼は急に水を一杯口にふくんでトイレへ。
断末魔の叫びが5分ほど鳴り響き,僕らはシャットダウンしたんだ。
ありがとう!やっちゃん!忘れない!


