春の終わりか 季節の変わり目

特別な予定もない日 ただ歩いているだけなのに

足元でふと視線を引くものがあります

ビタミンカラーのタンポポです

誰かに教えられたわけでもなく

探そうと思ったわけでもない

それでも 気づけば目に入っている花

鮮やかな黄色は まるで小さな太陽のようで

その場の空気をほんの少しだけ明るくします




けれど タンポポの花言葉を知ったとき

その印象は少し変わりました

タンポポの花言葉は

「愛の神託」 「真心の愛」そして「別離」

「別離」という言葉は

この花の姿からは想像しにくいかもしれません

しかし 花が咲き終わり 白い綿毛に姿を変えた瞬間

タンポポは風まかせの旅に出ます

どこへ行くのかもわからず ただ風に身を任せて

それは 何かを手放す姿にも見えますし

新しい場所へ向かう決意のようにも見えます


人もまた 気づかないうちに誰かと出会い

そして 気づかないうちに別れていくものです

「さよなら」をきちんと言えなかった関係や

あのとき選ばなかった道

タンポポを見ていると

そんな記憶が静かに浮かんできます

それでも タンポポは毎年同じ場所に戻ってきます

何事もなかったかのように また黄色い花を咲かせて

別れがあっても 時間が流れても

ちゃんと根を張り生き続ける

タンポポの「真心の愛」とは

離れたからこそ残る想いのことなのかもしれません


踏まれても 刈られても それでも咲く花

大きな言葉は持たず

ただ そこに在り続ける

何気ない道ばたで咲くタンポポは

私たちにこう語りかけているようです

「大切だった時間は 消えていない」

 「あなたが歩いてきた道は 間違っていない」と

足を止めて見つめるほんの数秒

その静かな時間こそが

タンポポからの小さな贈り物なのかもしれません