買い物帰りの茹だる暑さ。
長い坂の向こうに立ち上る陽炎。
コントラストの強い青い空。
もう会えないものたちが心をよぎって、
たまらなくなってギュッと目を閉じる。
見たくないものは目に見えないものなのに
どうしてか目を閉じてしまう。
「もう会えない」
見たくないのはその事実。
なのにやっぱり一瞬目を閉じることしかしできない。
空気が、色が、匂いが、
新しい悲しい記憶に結びついていく。
これからも増えていく。
優しい景色が見たい。
優しい音が聞きたい。
何にも焦らない優しい眠りがほしい。