「やわらかい世界ー夜のシグナルよりー」をお読み頂きありがとうございました。
前作「夜のシグナル」も、続編のこの「やわらかい世界」も、このシリーズはどちらも目で見た光景から降ってきたお話です。
前者は暗いLIVE会場に波打つ無数のペンライトの赤色
後者は雨に濡れた灰色のアスファルトに落ちた百日紅のピンク色
そのため、なんとなくもの静かで、モノクロームな世界でありつつ、私の中では局所的に色が鮮やかな印象のお話です。
今回の「やわらかい世界」では、「静かな世界」でしか自分は生きられないと思っていたユノさんが、チャンミンさんと再会することでほんの少しずつ変わっていきました。
チャンミンさんの存在に、自分一人の静かな世界が揺さぶられたという感じでしょうか。
ただ、次第にそれはよいことだけではなく、自分のいる世界を否定したりというつらい気持ちにもつながってしまいます。
しかし、揺さぶられたことで、少しずつユノさんの中で何かがほぐれていき、まずその変化はユノさんが密かな楽しみとしていた動画編集に現れます。
色を残し
二人の声を残し
タイトルを「静かな世界」から「やわらかい世界」へ変えた
その時点ではまだチャンミンさんに動画を見せることなど想像もしていませんでしたが、チャンミンさんを受け入れる、そして今後少しずつその他の人をも受け入れられる「やわらかい世界」を、無意識に切望していたのかなと思っています。
私の表現不足により本編ではお伝えしきれていないが故に、なんだか解説めいた「あとがき」になってしまいましたが、お許し頂ければと思います。
「小説ブログとしてどうなの?!」な対応ですが、このシリーズの静けさに対して私的な思い入れがあるため、補足させて頂きました。
多分ですが、このユノさんのアルバイト生活がすぐに変わったりということはないと考えています。
ユノさんは仕事の内容だとかに疑問を感じてはいないので、心の在り方が変わっていくことで人への向き合い方がまず変わっていくのだろうなと。
余白のある、動きのある、色もある、声も入っていい「やわらかい世界」であっても、自分がいられるのだということを、少し実感しはじめた段階かと思います。
まだほんの少しの変化ではありますが、同時に果てしない変化でもあったと思いますので、ゆっくりゆっくり自分の足で踏み締めつつ無理なく進んでくれればと勝手に願っています。
ユノさん、チャンミンさんの二人に幸多かれとも。
長文失礼致しました。
お付き合い、ありがとうございます。
みち
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