眠れない夜を過ごし、寝不足で朝を迎えた。
スマホを確認するも、夫からの連絡はやはりない。
私からは何度もLINEにメッセージを入れたり、電話をかけたりしていた。
電話をかけてもすぐに留守番電話に切り替わってしまう。
夫に留守番電話のメッセージを残すのはなんだか照れくさい気がして、留守電のアナウンスが流れてくるとすぐに電話を切っていた。
それでも何度もかけ続けていた。
一度も繋がることはなかったけど。
その日は午前中仕事だったので、迷った挙げ句仕事に行くことにした。
家で待っていても何もできることがない。
万が一連絡が来てもすぐに出られるように、いつもはロッカーに入れておくスマホをポケットに忍ばせておけばいい。
でもやっぱり失敗だった。
まるで仕事が手につかない。
夫のことが心配でたまらない。
いつ電話が鳴るか気が気でない。
そして、午前10時頃。
ポケットで振動しているスマホに気付き、慌ててトイレに駆け込んで電話に出た。
電話の相手は昨日対応してくれた刑事さんだった。
要件は、その後何か連絡などはないかとか、もし本人から連絡があったり帰ってきたりした場合は、速やかに警察署のほうに連絡をするように、など、事務的なお話だった。
どこかの病院などから警察のほうに連絡があったのかと期待して電話に出ただけに、特に進展のない話にガッカリしながら電話を切った。
駄目だ。
今日はやっぱり仕事にならない。
上司の主任にお願いして早退させてもらおう。
主任には体調が悪くて早退したいと告げた。
すると
「うん。朝からなんか顔色悪いなと思ってた。早く帰ってゆっくり休んで。」
と言われた。
顔色悪いのか、私。
そうだよな。
ほとんど寝てないし。
とりあえず帰ろう。
家に帰っても何もできることはないけど。