清々と

清々と

46歳のおばさんの日常日記です

試合当日の朝。

顧問の先生から紹介された接骨院へ向かった。

特別にと診療時間前の医院を開けてもらい、テーピングをしてもらった。


いろいろな種類のテープを使って、あらゆる方向から方向へ張り巡らされるテープ。

何重にも固められてやっと完成した。

ガチガチに固定され、少し走りづらいけど膝のお皿が外れそうな不安はなくなったと娘。


皆から遅れて会場に到着。

娘の姿を見つけて、チームメイトは歓喜の声を上げて迎えてくれた。


そして、とうとう最後の試合が始まった。


最初から、相手チームに押され気味で試合は進んだ。

少しずつ点差が開く。

観客席から応援している人達はもう諦めモード。


ああ。

これが最後の試合になってしまうんだ。

小学校2年生から始めたこの競技。

小学生の頃は全然楽しそうじゃなかった。

全然上手くならなくて、でも辞めたいと言い出せないくらい、気が弱い子だった。


中学校に入って、惰性でなんとなくこの部活に入った。

そして、今の顧問の先生に出会った。


すごく熱い情熱を持っている人で、怒ると怖いけどちゃんと褒めてもくれる。

多分教え方も上手い。

娘は中学生になってからグングンと上手くなった。


先生は、娘が一番頑張ってきたといつも言ってくれる。

父親がいなくなったことを、この先生には話した。

周りの人たちには未だにひた隠しにしているけど、この先生にだけは話した。

娘がそうしてほしいと言ったからだ。

そのことで気分が落ちているときに、自分が落ちている原因を知ってくれているだけで安心するからだと娘は言っていた。

特別扱いしてほしいわけでも、同情してほしいわけでもない。

ただ、知っててくれたらそれでいいと。


その話をしたときも、先生は泣いていた。

30代の男の先生だけど、泣き虫な先生。

感情を見せてくれるから、なんだか親近感もわくし信用できる気がする。


そんな先生が率いる娘のチームは、最後の最後まで誰一人諦めず戦い抜いた。

試合は結局負けてしまったけど、もう後悔はない。

子供たちは皆泣いていたけど、後悔の涙じゃない。

これで終わってしまったという寂しさ。

皆とプレーできるのもこれで終わりなんだという、寂しさ。


私たち保護者は、そんな彼女たちに泣きながら拍手を送った。

よく頑張ったね。

お疲れ様。

そんな思いを込めて。