3月から本格的に仕事を再開した私は、個人経営の映像制作会社の食客として草鞋(わらじ)を脱いでおります。経営者(社長)S氏は、元々は出版畑の出身で、私より年齢は2歳上です。

S氏のペン・ネームを記せば分かる方もあるかも知れないと思うのですが、PC関係の入門書として多方面へ知られる名著(古典的な傑作?)を著した作家さんなのであります。

「いまは時間があれば自分で小説を書いていて、原稿の手直しをしているんだけど、上手く行けば年内に出版できる運びかな、出版先も決まっているし・・・」

と、昨日は私との雑談内で笑っておられました。

「Tさん(注・私の本名)はどうなの?本、書いているんでしょ、進んでる?」

300枚(注・400字換算)を超えた原稿量を推敲また増補して止みません。そんな現状が、実は最も楽しいかも知れないとさえ、自身には思えます(私のは、ジャンルは小説ではないです)

同病相憐れむとの慣用表現がありますが、これはまるで大江健三郎の若き日の小説に出て来る世界観(?)だな、ちょこっと末恐ろしい気がして来ましたが、大江「他人の足」には、サナトリウムかにて療養する歩行困難な少年達の会話場面がある。隔絶された小世界にて、全く異次元的な時間の流れる只中、互いの肢体の不都合に関する話題には少年達が辟易していると綴った文学世界でしたが、感性が閉塞された人間は、観念また妄想が肥大化する事実が密に読み取れる、大江文学の萌芽を垣間見るに相応しい名短編小説です。

本日は土曜(4/04)ながら、短時間のみ事務所まで私は出向きます。4月から仕事に入ってくれます女性スタッフ2名が共に初揃いするのが本日で、社長と私と4名が揃って、今後の方針を話し合います。会社には他にも男女スタッフがおりますが、皆が副業を有する為、必要な場で必要とされる顔ぶれが揃うとの、プロダクション的な運営となっているのです。新スタッフとして加わる女性達も、自然と副業を持っており、と申すより正副の区別はご当人すら容易に説明が出来ないのではと思えます。

さて、グラビア系アイドルとして復活した仲村みうのブログ本は、けっこう売れているらしい。休業する直前に彼女に会う機会がありましたが、聡明な女の子でした。18歳になったばかり(3月生まれです)、これから再躍進ですね。

マネージャーMさんともご懇意にさせて戴いておりますグラビア系の川奈栞(かわな・しおり)さんも、4月中に大手出版社からブログ本を上梓します。このブログが稼動するに、私は裏方として務めています。何より彼女(栞さん)は、話し言葉が美しい帰国子女(アメリカで10年間と生活した)なので、彼女が話すように書く日本語こそ、綺麗な日本語表現と感心させられます。帰国子女達の話す母国語は、何故か綺麗ですね。

栞さんとMマネさん(女性マネージャーMさん)は、いまバリ島で新作の撮影中です。今年に大きく飛翔する可能性を秘める川奈栞さんと思います。

「乃ディさん、栞をこれからも、よろしくお願いしますね・・・」

Mマネさんからこの間もご挨拶を戴きましたが、いやこちらこそどうぞ本当に・・・。

土曜はお花見で賑わいそうも、首都圏は夜は雨があるらしい。その時間帯、私は新宿某所にてキャンディーズ集会、何たって今日は“4月4日”ですからね。

思えば31年前の今夜、いまは取壊された後楽園球場で、キャンディーズはファイナル・コンサートを行いました。風がまだ冷たい当夜でしたが、あれから幾歳月、桜が開花する頃にあの熱気を思い起こすご同輩も多いことでしょう。

「伊藤に田中に、あとミキちゃんだけ、苗字を思い出せないな・・」

S社長は私に言いました。ミキちゃんだけ、芸能活動を継続していない。

「藤村です、藤村美樹」

念を押すような私の語気に、物書きが醸す特有の殺気が交錯したかのよう、S社長は私へと振り向いた。