【RMT-APP】10・22衆院選は「改憲」「3選」封じ
【RMT-APP】 内閣改造・自民党役員人事が終わり、内閣支持率がじわりと回復基調に転じると、政界に再び解散風が吹き始めた。平成30年暮れの衆院任期満了まで残り1年4カ月余り。来年9月の総裁選3選を見据え、安倍晋三首相(自民党総裁)はいつ衆院解散に踏み切るのか。そのカギは、首相が掲げる「平成32年の新憲法施行」という政治スケジュールにある。 (岡田浩明) 「秋の臨時国会冒頭で首相は解散を打ってくるのではないか?」 3日の内閣改造後、永田町でこんな噂がまことしやかに流れ出した。 発信源は民進党だった。 学校法人「加計(かけ)学園」問題などで急落した内閣支持率は回復しつつあるが、民進党では蓮舫代表の辞任表明後も混乱が続く。9月1日の代表選では共産党との共闘の是非が争点となり、選挙準備どころではない。 一方、小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が年内の新党結成に動き出した。新党との連携を見据え、細野豪志氏に続き、民進党から離党者が続出する可能性もある。 つまり首相から見れば「今秋に解散すれば十分勝算がある」というわけだ。10月22日には愛媛3区と青森4区の衆院ダブル補選が予定されており、9月下旬の臨時国会冒頭に解散すれば「10・22衆院選」をぶつけることもできる。自民党の一部には「任期満了近くになると追い込まれ解散となる。今のうちに解散するのが得策だ」(中堅)と乗じる動きもある。 だが、今秋の解散は基本的にあり得ない。現時点で解散すれば、自民、公明両党で過半数は維持できても、改憲勢力3分の2超という現状を維持するのは困難だからだ。 首相が、昨年夏の衆参同日選や昨年末の解散を見送ったのも同じ理由だった。当時の内閣支持率は5割超だったが、自民党などの極秘調査は「自民党は少なくとも30議席減」という結果だった。 衆院で改憲勢力3分の2超の議席を失えば、首相が5月3日に打ち出した「憲法9条に自衛隊を明記する」という改憲方針は霧消する。この大目標を失えば総裁3選の道にも黄信号がともる。首相の目に今秋解散論は「改憲封じ」「3選封じ」に映っている。 では首相が思い描く衆院解散はいつか。 理想は、来年の通常国会で改憲案を衆参両院で発議し、来年秋の総裁3選後に衆院選と国民投票の同日選挙だろう。 だが、野党・メディアの護憲勢力が「改憲潰し」「安倍潰し」に向け、総力戦を仕掛けることは想像に難くない。逆風を受け、公明党が改憲反対に転じることも十分あり得る。 首相が最も憂慮しているのは、改憲案が衆参いずれかで否決されることよりも国民投票で否決されることだ。もし否決されれば、改憲論議は数十年にわたり封印されかねないからだ。 昭和35年の日米安全保障条約改定時のように国会を幾重ものデモ隊が取り囲むような事態となり、強行採決で改憲案を発議せざるを得ない状況に追い込まれたら首相はどうするか-。一か八かで「改憲の是非」を問うて解散を打つ可能性は十分ある。来年春の平成30年度予算成立後は常在戦場となるのではないか。