アルビレックス新潟シンガポールから
ポルトガル2部のベレネンセスにこの2週間
練習参加に来ていた乾達朗選手(元ジェフ千葉選手)。
残念ながらチームとの契約とまでは至りませんでした。
ただセンスのある左足と高い技術、そして吸収力
そして何と言っても性格が 「気持ちのいい」 選手でした。
とにかく話していても前向きで
試合後のチームメイトたちがみんな 「イヌイ~!」
といって寄ってくるのを見ても、この2週間で
チームメイトからも信頼されていることがよく分かります。
最初の頃の練習ではパスを受けることにも苦労していたのですが
持ち前の前向きな姿勢でどんどん順応し
最後の方にはそれをほとんど感じさせないようにまでなっていました。
しかしそれだけではダメなのが厳しいプロの世界・・・
高い技術は目を見張るものがあるという評価でも
みんなが1部昇格を目指してフィジカルを前面に出し
激しく凌ぎを削り合う2部の世界で戦力として考えると・・・
という監督の決断でした。
スポンサーや代理人をつけずに
真っ向勝負でこのようなテストを受けるには
クラブが思っているはるかそれ以上のものを見せつけないと
やはりなかなか契約とまでは至らないのが現実です。
でもこのようなことに挑戦するのは
何事にも変え難いものになると思います。
日本でゆっくりとオフを過ごす2週間と
ポルトガルで将来をかけて走り回る2週間とでは
絶対価値が違ってくるはずです。
もちろんこの経験をプラスに変えないとただの観光旅行に
なってしまうので意味がありませんが
ただ彼の前向きな性格上、この経験をプラスに変えて
やってくれると信じています。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/albirexs/article/325
最後に彼のルームメイトでベレネンセスの200mの陸上選手でもある
ギニア出身のエルマーノとの逸話を紹介します。
エルマーノは典型的なアフリカ人で超ご陽気者
いつも I Pod 全開で腰をフリながらダンスを踊っています。
彼とは僕もいつも練習前に会い、色々な話をしていましたが
彼はいつも僕にこう言っていました。
「イヌイは素晴らしいヤツだよ!
絶対ベレネンセスに彼の席はあるから大丈夫だ!心配するな!」
そう言って自分の陸上の練習の傍らチラチラ練習をのぞきに来てくれていました。
そして練習後に僕に 「やっぱりイヌイはいい選手だな!」
そう言って別れていくのが毎日の習慣となっていました。
そして昨日の最終日、僕たちが結果を聞き
外で待っていたエルマーノにそれを伝えると
言葉をつまらせて 「監督は何と言ってるんだ?」
僕が事情をしっかり説明すると、しばらくして
泣きそうになりながら、真剣な眼差しで乾選手の肩を持って
これを通訳してくれと・・・
「イヌイ・・・お前の夢はチャンピオンズリーグなんだろ?
いいか、神様は絶対見てくれてるからな・・・」
僕は思わずもらい泣きをしてしまいそうになりました。
こんな情に熱い友人を持てた彼は幸せものです。
ちなみにエルマーノは陸上でロンドン五輪を目指しています。
乾選手もロンドン五輪世代です。
僕は勝手にオリンピックの選手村で彼らが会うことを夢見ています。