法や実践理性の一領域は、準則に拘束された判断と漸進的決定とを一定程度組み合わせたものによってカバーされる。観光旅行の誘いを断ろうと決心するかもしれない。あるいは自分の近親者にかかわるものでないかぎり、結婚式や葬式にはいかないという暫定的な原則を採用するかもしれない。またある場合は、主催者が飲むものはなんでも飲むことにしているかもしれない。この種の準則、暫定的な原則、ルーティンは、実践理性の普遍的な特徴である。それらは自覚的かつ意志の行使として選ばれることもある。しかし、より多くの場合には、あまりにありふれた単純なことであるために、またそのようなものと化してしまうために、行為主体には選んだ覚えがまったくなくなってしまう。問題が生じるのは、自分の解決法を貫けないとわかったときであり、その結果、高低型が高高型に変わり、あたかも第二階の決定がまるでなされなかったかのようになるかもしれない。とくに重要な事案は、次のような種類の問題を解決する試みである。それは異時点間の、個人内の問題であり、そのつど独立に漸進的な第一階の決定を下すことが個別的には合理的なのに、総体的には当人にとって有害となる場合に生じる。
一度は考えておきたいこと