介護施設での初めての入浴


介護施設に入って、初めてのお風呂。


介護士さんから連絡があった。


しばらくシャワーだけの生活だったのかもしれません、と。


そして、


「あかがすごかったです」と。


その言葉を聞いたとき、

胸の奥が少しだけざわついた。


シャワーだけだったのかもしれない。


いや、

シャワーも、あまり入っていなかったのかもしれない。


入浴という、

あまりにも基本的な生活の一部。


それさえ、保てていなかった可能性。


驚きはあった。


でも、「もっと早く気づけたのでは」という思いはなかった。


遠方だった。

そして、義理弟がいた。


生活のそばにいる人間が、

いるはずだった。


怒りではない。


自己嫌悪でもない。


ただ、静かな確認だった。


3人の生活は、

もう回っていなかったのだと。


義父は認知症が進み、

義母は義父の助けがなければ生活できず、

義理弟は自分の生活でいっぱいいっぱいだった。


誰かが支える側に回らなければ、

保てない構造だった。


あの入浴の連絡は、

感情を揺らす出来事というより、

現実を確定させる知らせだった。


もう、元には戻らない。


そう理解した瞬間でもあった。