俺はホテルでゆっくりしてる方がいい。


 まずは当たり前に拒まれるのは分かっているけど,そこをどうにかしないと。


「今日は遊びに行くなよ」


 腕を掴んだらすごい勢いで振り払われた。


「いくよ! せっかく東京来てるのに外出ないってあり得ない」


 有り余ってるな体力。


 この雨で外出るか?


 年齢とともに疲れって出てくると思うのにね。


「ちょっとだけだし。ユチョンも行く?」


「ジュンスはトモダチと一緒だろ」


「うん」


 俺は行かないって知ってて,そんなこと言う。


 独り占めできないなら嫌だ。


「オレはユチョンだけのものじゃないもん~」


 心の中で思っただけなのに。


「うわはははー」


 いいはしゃぎっぷりで。


 前髪を揺らして楽しそうに笑うのがかわいいけど,ふざけた言葉をいじってなんかやらない。


 逃げ切ろうとするジュンスのサングラスを取り上げた。


 俺がちょっとムッとしたからか,満面の笑みが迫ってきて唇に噛み付かれた。


 御機嫌とり?


 逃がすか。




「……んん!」


 首根っこを掴んで,しばらく離さないつもりで唇を吸い返す。


「んんんー……」


 ちゃっかりサングラスは奪い取られたけど,そのまま背中を抱いて捕まえてしまえば,簡単には逃がさない。


「んんっ,あ,もう行くんだってばあ」


 うっすら開いた目が潤んでる。


「ねえ。俺と,部屋の中で体力使って」


 耳に息を吹き込んだら背筋が一瞬強ばった。


 びくっとするのがかわいらしい。


「……はあ?」


 絶対ちょっとでも感じたはずなのに,なんにもなかったみたいに離れようとするから,更に追い込む。


「ぐっすり眠れるようなことしてあげるから」


 膝を割って入り込んだ太股をぎゅっとジュンスに押し付ける。


 腰を掴んで密着しながら,じっとジュンスを見つめた。


 まだ逃げるかも。


「いっぱい動いて,体力使って。好きなだけしてあげるから」


「な,なにを……?」


 分かってるくせに。


「言った方がいいの? 具体的に」


 舌先で耳の後ろをくすぐると,ジュンスが息を飲んだ。


 口の中も耳も背中も腰もその下も,ツボは心得てるから。


 その気になるようになんていくらでもできる。




 だんだん弱くなる抵抗。


 壁まで追い込んだら後は俺のペース。


「ジュンスのこと上手に気持ちよくできるのって,俺しかいないでしょ」


 困った顔ばっかさせてるって分かってるけど,反応がかわいくて,やめられないんだよね。


「ジュンスがもうやだって言うまで,ずーっと気持ちよくしてあげる」


 観念して。


「……だって約束してるしぃ」


「電話して。断って」


「ええー……」


「ほら,早く」


「うー」


「俺が具合悪いからって言って。メンバーのこと心配するの当たり前でしょ」


 勝手にジュンスのポケットを探ってケータイ出して誘導。


「うそつきだあ……」


「うそじゃない。ジュンスがいないと俺,具合悪くなるからな。ほんとに」


 言葉では脅すけど,その代わりにジュンスを抱く腕はうんと優しくする。




「あとね,歌ってほしい。今日くらい,寝るときジュンスの声聞いてたい」


 甘えるの上手なくせに,甘えられると弱い。


 お願いされたら断れない。


「じゃないと俺寝れない……」


 しぶしぶの体でケータイをいじり出すジュンス。


 ケータイを耳に当てながら,ちらっと俺を見上げる。


 大事な時間ほど,独り占めさせて。


 お願いだから。




「……もしもし? ん? あー。ごめん。行けなくなっちゃった。ちょっとユチョンが調子悪くて,面倒みなきゃ。ほんとごめんね。え? あ,大丈夫大丈夫」


 ジュンスが俺の面倒みてくれるんだ。


 向こう半分笑ってないか? 大丈夫?


「ジュンス,はやく」


「うん。あー,じゃ明日……」


 明日もジュンスは俺のなの。


 電話を奪って,聞こえてきた声に勝手に返事をする。


「あー,俺ユチョンです。……うん。ごめんね。明日もジュンス,外出せそうになくて……。うん。……ううん。俺のせい」


 ジュンスの咎める視線はまったく痛くない。


 咳払いはわざとじゃなくて,ほんとにのどの調子が悪いから。


 心配してくれるジュンスのトモダチ。


 ありがとう。ごめんね。


 でも,ジュンスはやれないや。


「……みんなあさって会えるよね? じゃ,そのときに」




 よし。


 これで独り占め。


 にやけるのが止められない。




「みんなによろしく。うん。ありがとう。ばいばーい」


 勝手に電源まで切ったケータイを放る。


 何か言いたそうな口はすぐ塞いだ。


 諦めて。


 今日は全部俺によこせ。




 夜遊びもさせないし,交友関係も壊さない。


 何よりジュンスを大事に愛でる。


 でも,俺はしたいことしてるだけ。


 俺がお前のオンマに愛される理由も分かるでしょ。




「……俺って,いい男じゃない?」


「んじゃあ,はやく」




 オッケー。