小さくて大きなタネ | つくることでつながりたい

つくることでつながりたい

何気ない毎日がどんなにしあわせか・・
不器用で遠回りばかりの私の 大好きなハンドメイドと夢への道のり、日々とキモチ。


気づくと、こんなだだっ広い場所へ出ていた。

右を見ても左を見ても、何も見つからない
上を見ても下を見ても、何も見つからない

何ひとつの気配もしない場所。

気づくと、そんな場所へ出ていた。


せっせ、せっせと
私はその場所を耕してきた。

なだらかだと思えば急に崖があったり
盛り上がっているかと思えば急に穴が空いていたり

私が立っていた場所は
ザラザラトゲトゲして、いつもカラカラに乾いていた。

荒れ放題、荒れていた。

だから
来る日も来る日も、

せっせと夢中で耕し続けた。


ある時気づいたら
デコボコが少しづつ整い、
なだらかな場所が増えてきていた。

嬉しかった。

これでようやく
私にも何かの種が植えられるんじゃないか
何か気配のするものと出会えるんじゃないか

ようやくちょっとだけ
そう思えた。


けれど
すぐに気づいた。

そこにただ辿り着いただけでは
何とも出会えないということを。

私が今居る場所は
だだっ広いだけで
何の色も気配もしなかった。

あまりに夢中で耕すばかりで
私には、肝心なことが見えていなかった。

きっと当たり前のことほど
慢心するほど当たり前過ぎて

つまづかないと
見えないものなのかもしれない。


いざ種を植えようと思っても、
どんな種を選べばいいのかわからない

種はいったいどこでどうしたら手に入るのか
わからない

種をどんなふうに埋めたらいいのか
わからない

私はそのまま、前にも後ろにも
進めなくなってしまった。

だだっ広いこの場所に居ることが
すごく心細く、すごく怖かった。

何か選びたくても
何も選べない。

何か行動したくても
どうしたらいいのかわからない。

自分がどうしたいのか、わからない。

ただ立ち尽くすだけで動けない自分。

このだだっ広い場所で
私が最初に出会ったのは、
そんなあまりに無力な自分だった。

そんな自分を心もとなく
不甲斐無く感じた。

当たり前のことが全然出来ていない自分を
恥ずかしく思った。


それでも私は
感情のボートに乗ることはせず

そんな自分を見つめながら
そのままその場所にじっとしてみた。

次の何かに出会えるまで
待ってみた。

待つことは苦手だけれど
何とかかんとか、
この場所に居ることを味わってみた。

そうして
私はついに拾った。

”まずは
当たり前のことに
真剣に取り組んでみよう”

”それを積み重ねて
当たり前のことがしっかり出来るようになりたい”

そんなタネを。

タネは、驚くほどシンプルだった。


随分遠回りしてしまったけれど
まだ、間に合うだろうか?

もしかして
遅くなった分
あきらめなければならないものも
あるのかもしれない。

けれど私は、

私も

大地にしっかり根を張って

いつか自分なりの味のする実を
実らせてみたい。

自分なりの色や形をした花を
咲かせてみたい。


早速、手の中の
このほんの弱々しいタネを
大切に植えてみよう。

真剣に穴を掘るところから
始めてみよう。